〇が三つで予備軍
ネット依存症の全国調査に使われているアンケート(Youngによる原文の、東京大学橋元研究室による邦訳版)を、実際にみなさんにしてもらおうと思います。全部で8問あります。当てはまるものに○を付けてください。
(2)より多くの時間、ネットをしないと満足できない
(3)ネットの利用時間をコントロールしようとしても、うまくいかない
(4)ネット利用を控えようとすると、落ち着かなくなったり、いらいらしたりする
(5)もともと予定していたよりも長時間ネットを利用してしまう
(6)ネットのせいで、家族・友人との関係が損なわれたり、仕事や勉強などがおろそかになりそうになっている
(7)ネットを利用している時間や熱中している度合いについて、家族や友人にうそをついたことがある
(8)現実から逃避したり、落ち込んだ気分を盛り上げるためにネットを利用している
いかがですか? 八つのうち、○が五つあればネット依存症が強く疑われます。三つ以上でも依存症の予備軍と言われます。まずは自分の状態を知り、次に宿題や遅刻など学校生活に問題が出ていないか、友達の話をあまり聞かないなど友人関係に問題がないかを振り返って欲しいと思います。自分の状況や周りとの関係を落ち着いて考えてみることが、依存症の予防にもなり、また回復への第一歩になります。
小学生への教育必要
図は2012年と2017年に全国の中高生に対して調査をした結果です。17年では中学1年が男女平均11.9%(9人に1人)、高校1年は同16.6%(6人に1人)が冒頭のアンケート調査で依存症が強く疑われています。ともに12年から大きく増加しています。これはネット接続環境の向上、スマートフォンなど携帯機器の所持率が上がったためと思われます。
依存症の中高生は今後も間違いなく増加するでしょう。また、小学生にはこの大規模調査はされていません。12年ごろは多くの小学生はネットに接続する機器を持っていなかったからです。5年で大きく環境が変わっており、今では小学生からネットの危険性に関する教育が必要と考えられています。次回はネット外来と入院治療です。
(富山大大学院医学薬学研究部疫学・健康政策学講座助教 山田正明)
やまだ・まさあき 1978年生まれ。富山医科薬科大医学科卒業。社会医学系専門医協会指導医、日本消化器内視鏡学会指導医。2014年から現職。専門は生活習慣病や医療制度など。趣味はサウナ、旅行、英会話。
2019年1月8日北日本新聞ぶんぶんジュニア面より