富山市PTA連絡協議会は8月末、子どものネットやスマホ利用をテーマに親学び講座を開き、富山市保健所保健予防課の藤牧範行さんがネットやゲーム依存症について講演しました。
コノコトでは講演内容を2回にわたって紹介します。1回目は子どものスマホ保有率や利用時間の現状と、ゲーム依存症の症状について詳しく解説しました。今回は「依存症かも」と思ったときに家族ができることを取り上げます。
不眠、噓をつくなどが依存のサイン
依存症とは「わかっちゃいるけどやめられなくなり、生活に支障が出てくること」と藤牧さんは説明しますが、ゲーム依存症のサインとなる具体的なポイントがあります。
家族ができること すぐ始めて
本人は「いつでもやめられる。自分は依存症ではない」と思っているケースが多く、ほとんどの場合は家族が依存症に気付くと言います。
藤牧さんは「依存症のサインに気付いたら、①病院や保健所などの相談機関に相談する➁家族でサポートする、この二つのうちできる事からすぐに対応してほしい」と話し、家族でサポートする上で大切なポイントを説明します。
①無理やりネット・ゲームを遮断しない
本人にとってはゲームやネットが唯一の居場所であることもあり、その居場所を無理やり奪うことは、親子関係の悪化や、ゲームへの執着をさらに強めることになる。なので本人に無断でスマホやゲーム機を取り上げたり、Wi-Fiを切ったりすることはしない。
➁正論で注意しない
注意を繰り返すと、本人はストレスを抱えてさらに依存を深めてしまいます。正論を伝えることで本人を変えようとするのではなく、まずは会話できる環境を維持することが大切。話をよく聞き、心配していることを伝えることを根気よく続ける。
③ネットやゲームに興味を持つ
本人がはまっているゲームをプレイしてみて、好きなところや楽しいところを聞いたりして、本人の気持ちを理解しようとしてみる。
④実生活で充足感を得られるようサポート
ネットやゲームに依存している人は、現実的な生活で充足感を得られずストレスを抱えています。家事を担当してもらったり、買い物や習い事、友達と遊ぶなど家庭外での活動をサポートしたりすることで、本人が充足感を得られるような環境を整える。
⑤本人との会話を増やす
何気ない会話を繰り返すことで、テレビや食事のことなど会話の話題も増えていきます。気になることがあってもすぐには注意せず、できるだけポジティブな言葉を使い、ゆるやかに見守る。
これらの対応の結果、家族間の会話が増えてきたら、病院や相談機関の担当者と一緒にネットやゲームの利用方法について話し合います。その際は、家族全員が納得できるルールを作ります。
一喜一憂せず 家族も自分の生活を大切に
藤牧さんは「依存症は、数カ月単位で治るものではありません」と言います。解決を焦って「支えなければ」「我慢しなければ」と力を入れすぎていると、家族がつぶれてしまいます。「一喜一憂せず、疲れた時には自分にご褒美をあげるなど、家族も自分の生活を大切にすることが、長くサポートを続けるポイントです」とアドバイスしました。
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富山県心の健康センターや、厚生センターでも相談を受け付けています。