第13回「忘れ物わざとじゃない 検査結果に納得」から続く

「最近どう?」
医師の診察はいつもこの言葉から始まります。

小学6年生の春から学校に行き渋るようになり、夜も眠れなくなったK君は、児童精神科に通院するようになりました。検査も受け、発達障害の特性をいくつか持ち合わせている「凸凹ちゃん」と伝えられました。

医師の問いかけに、「別に。普通」とそっけない返事をするときには、医師が「何のゲームやってるの?」と水を向け、ゲームの話で盛り上がります。そして話題はいつの間にか、学校や体調のことに変わっていきます。

 (画像提供:PIXTA)

診察では、お母さんも悩みを話します。学校を休みがちなことへの不安を伝えたときには、「疲れているときは休んでいい」と休むことを前向きにとらえるようアドバイスされました。

学校にどこまでサポートをお願いすればいいのか悩んでいた時には、「視力の悪い子は眼鏡をかけている。足の悪い子は車椅子を使う。発達に特徴のある子が、その子の過ごしやすい環境を整えることは、それらと一緒。特別扱いじゃない」と言われました。

再診の予約をして診察室を出るとき、いつもお母さんは思います。「また困ったことがあったら、ここで相談すればいい」

「ワーカーさんくる日だから 学校行こうかな」

通院を始めたことで、お母さんの視野が広がります。富山県総合教育センターに面談に行ったり、病気や障害のある子どもの親たちのサークルに参加したり。

スクールソーシャルワーカーとの面談にも申し込みました。

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