第12回「学校から毎日電話 責められているよう」から続く

児童精神科は子どもの心を専門とする診療科です。2005年、発達障害者支援法の施行によって、発達障害が少しずつ知られ始め、「うちの子もそうなのではないか」という親子が殺到するようになり、今も多くの病院で初診まで数カ月待ちという状況が続いています。

小さい頃から怒りっぽく、泣き暴れることが多かったK君も、小学校1年生の時に受診しました。その時には発達障害とは診断されず、お母さんはグレーゾーン“なのだろうと考え、特性によって本人が困らないようサポートしてきました。

しかし6年生になり学校を行き渋り、夜も眠れなくなったことで、お母さんはこれ以上どうサポートすればいいのか分からず不安でいっぱいになります。幼稚園教諭や保育士として働いてきた経験から、ずっと感じてきた「他の子とは何かが違う」という違和感を、今度こそ受け止めてほしいと2度目の受診を決めました。

検査結果 まさにその通り

予約から約2か月後、診療が始まり、能力を調べる検査を受けることになりました。言語の理解力や表現力、目で見た情報を把握して推理する力、情報を記憶して処理する力などを調べます。お母さんはK君に「得意なことと苦手なことを知るためのテストだよ」と説明し、本人も納得して臨みました。

 (画像提供:PIXTA)

結果は「まさにその通りでした」とお母さん。

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