第11回「モンスターペアレントと思われるのでは」から続く

発達障害グレーゾーンのK君が6年生になったのは、新型コロナウイルスの国内感染が始まって2年目。ウィズコロナという言葉とともに、学校行事も形を変えて戻ってきた年でした。前年は中止になった運動会も5月末、規模を縮小して行われ、K君は全力で取り組み、楽しみました。しかしその後、「6年間で最もつらい日々」が始まります。

きっかけは、K君が学校に馴染めなくなったことでした。先生たちは何かにつけ「最高学年として」「最高学年なのだから」と話し、自分で考えて行動するよう求めます。先を読んで行動することが苦手なK君には、どうすればいいか分かりませんでした。

教室の雰囲気も変わりました。反抗期に入ったクラスメートたちは、先生をからかったり、ふざけて友達が嫌がることをしたり。友達からその「からかい」や「ふざけ」を一緒にやるよう言わることもありました。K君は「学校に行っても楽しくない。学校のことを考えるのも嫌」と、家に帰ってからゲームばかりするようになりました。

担任に謝ってばかり

「登校班の班長なんだから、ちゃんと行かないと他の子に迷惑がかかるでしょ」「いつも通り起きてるんだから、準備して行けばいいのに」と怒るお母さんに対し、K君は「行かない」の一点張り。6月に入って、二人は朝からこんなけんかを繰り返すようになりました。

お母さんは、運動会でとても頑張っていた息子を誇らしく見ていただけに「こんなに元気なのに、なぜ学校に行かないのか」という戸惑いと、「このまま行かなくなったらどうしよう」という不安でいっぱいでした。

さらにお母さんを苦しめたのが、その後の学校とのやりとりでした。「今日も学校をお休みします。ご迷惑をおかけします」と電話をし、夕方になると今度は担任から「どうですか」とかかってきました。毎日そんなに変わりもなければ、本人の体調が悪いわけでもない。担任の「どうですか」は「なぜ来ないんですか」と責められているように感じました。


(画像提供:PIXTA)

電話の最後には決まって、

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