第3回「「学校に行きたくない。大人は信じられない」から続く

 “三角巾事件”以降、お母さんはK君が学校で困らないように、これまで以上に気を配るようになりました。

自宅には、ホワイトボードに「ハンカチ」「ティッシュ」「三角巾」など学校に持っていく物を書いたマグネットを貼り、準備ができたらひっくり返す「おしたくボード」を作りました。ランドセルのかぶせ部分の裏にも「宿題を出す」などと書いたメモを貼り、学校の机に置くやることリストも作りました。

ホワイトボードに、持ち物を書いたマグネットを貼った「おしたくボード」。ひっくり返すと「できた」になる(お母さんの記憶を基に再現)
学校で使うために作ったやることリスト(お母さんの記憶を基に再現)

担任の先生とも密に連絡を取り合い「連絡帳を書くタイミングが分からないことがある」「耳から聞く情報より、目で見た情報のほうが理解しやすい」など、K君の特性と対応について伝えました。するとK君の「学校が嫌」という気持ちは少しずつ小さくなり、また楽しく学校に通うようになりました。しかし6年生になると、再び学校で困ることが増えてきました。

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