この1年間、敏感さのよいところを、ぜひ伝えたいと思って、ずっと探していました。
でもある日、ふと思いました。
落ち込みやすいことの、何がだめなんだろう。
傷つきやすい人も、別に嫌いじゃない。
すぐ泣く人は、抱きしめたくなる。
いつも深く考えている人は、すごいなー、と思う。
ささいなことでパニックになってしまう人は、愛おしくなる。
人の気持ちばかり考えてしまう人は、優しい人だなあ、と思う。
おなかが空いてイライラしている人は、かわいくて笑っちゃう。
刺激に弱くてすぐびっくりしちゃう人を、嫌いになるわけがない。
私、敏感さのよい面も、悪い面も、全部好きだな。
そしたらようやく、自分の中の「びんかんちゃん」が、安心してくれた気がしました。
まるごと受け入れると、心は満足でいっぱいでした。
自分の「びんかんちゃん」を育てるのも、子育てと同じなんですね。
自己肯定感というのは、よいところだけじゃなくて、悪いところを受け入れたときに、ぐんぐん育つ感じがします。
「直さなくてもいいや、だってこれが私なんだもん」と思えると、どんどん力が湧いてきます。
そして、毎日、楽に生きられるようになります。
あなたはあなたでいいし、私は私でいい。
人と違うところがあっても、自分を責めなくていい。
「違い」は「間違い」じゃなくて「個性」だから。
このあとはもう、自分の特性を生かして、自分らしく生きていけばいいだけです。
よい面を見つけることも、とても大切なことですが、
「これはだめなところ」「嫌なところ」「直さないといけないところ」
と思っていることがあれば、それを一旦認めて、受け入れてみてください。
意外とたいしたことないものですよ。
子どもがHSCなら、親は、心配というフィルターを時々外して、子どものだめだと思うところを、「この子はこうなんだ。これでいいんだ」と受け入れてみませんか。
そうすることで、子どもは楽になり、自分らしく輝くことができるようになるのだと思います。
◆太田知子(おおた・ともこ)◆
1975年、東京都生まれ。主に子どものイラストを中心に描くイラストレーター。小学生と中学生の2児の母。
著書『子育てハッピーたいむ ななとひよこの楽しい毎日』1~3。『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち』1~5。『HSC子育てあるある うちの子は ひといちばい敏感な子!』。