敏感な子の育児は、そうでない子に比べて、大変だと感じることが多いです。

些細なことで傷つきやすく、細かいことで不満を感じ、その敏感な気質から、他の子が普通にできることでも、できないことが多々あるからです。

学校生活では、集団が苦手で、馴染めなかったり、馴染むのに時間がかかったりします。

食にこだわりがあり、残さず食べなければならない給食の時間を、とても苦痛に感じます。

正義感が強く、いじわるな言動や、ルールを破る人、心ない言葉に、大きく傷つきます。

まわりの人の行動を気にするあまり疲れてしまい、学校に行きしぶることや、休みがちになることもあります。

このようなお子さんの反応に、
「他の子はみんなできるのに、どうしてうちの子だけ ……」
「私の育て方が悪いからだ」
とお子さんを追い詰めたり、自分を責めたりしがちで、そうなると益々、親子共に苦しむことになります。

でも決して、お子さんが悪いのでも、お母さんのせいでもありません。

私の娘は二人ともHSC(ひといちばい敏感な子ども)です。
二人の育児はそれぞれに苦労しました。

小さい頃からよくわからない理由で大泣きし、一旦泣いたらおさまるのにとても時間がかかり、傷つきやすく、いつも問題を抱えていて、登校しぶりもあります。

そんなHSCの子育てを通して、私が知らされたことは、

「傷つきやすく、問題を抱えやすいのは、持って生まれたひといちばい敏感な気質によるもので、そのHSCの気質を知れば知るほど楽になる」

「他とは違う子を育てようと思ったら、自分は他の親とは違う親になる、という覚悟が必要である」
 (HSPの提唱者、アーロン博士も、子育て中、これをモットーとしていました)

「それでも孤独を感じたときは、HSPのコミュニティーに積極的に参加して、自分だけじゃないことを知る」

そして、これが一番重要ですが、
「HSCを育てるときに大切なのは、お母さんが毎日をリラックスしてすごし、人生を楽しむこと」
ということです。

よくも悪くも、一緒にいる人によって感情が大きく左右するHSCにとって、お母さんが夢中で何かに取り組んでいたり、生き生きとした姿でいることは、何よりもよい影響を受けるからです。

目先の心配が、ずっと続くように思わなくて大丈夫です。
お子さんは年々成長します。
あんなに小さくて頼りなかった私の子どもが、高校生の今では、敏感な性質は変わらないままで、多少の困難を振り払う力を持っています。
それにHSCには、マイナス面を補ってあまりあるほどの、よい面がたくさんあるのです。
人の気持ちがわかる優しい心があり、人や動物、植物にまで深い愛情を示したり、するどい観察力や、驚くような発想力を持っていたり、豊かな感受性にはいつも感心させられます。

私も完璧な母親、最高の子育てを目指すのではなく、自分らしい人生を楽しむ日々を過ごせばよいのだと、子育てを通して気づかされました。
HSCの子育ては大変ですが、私の人生を豊かにし、幸せの本質を教えてくれたHSCの娘には、心から感謝しています。

 

◆太田知子(おおた・ともこ)◆

1975年、東京都生まれ。主に子どものイラストを中心に描くイラストレーター。小学生と高校生の2児の母。
著書『子育てハッピーたいむ ななとひよこの楽しい毎日』1~3。『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち』1~5。『HSC子育てあるある うちの子は ひといちばい敏感な子!』。