HSCを育てるときに大切なことは、たった一つのことを心がけるだけです。
それは、「安心感」を与えることです。
「あなたはこう感じるんだね。素晴らしいね。
あなたはこうなんだね。大丈夫だよ。
世の中はいいところだし、みんな優しいよ。
失敗してもいいんだよ。
傷ついたんだね。そんなことがあったら当たり前だよ。
でも誰がなんと言おうとあなたの価値は1ミリも変わらないんだよ。
疲れちゃったね。ゆっくり休めばまたやる気が出てくるよ」
と、ブレずに何度も何度も、その都度、伝え続けていくこと。
親は「安心感を与えること」だけを心がけていればいいのです。
でも……。本当は簡単でシンプルな子育てが、なぜこんなにも難しいのでしょう。
それは次の2つのことが、大きく邪魔をしているからだと思います。
「他の子と比べてしまうこと」
「他の人の目を気にしてしまうこと」
どうしても日本人は、他の人と同じじゃないと不安を感じる国民性なので、他の子がみんなそうする「ふつう」を求めてしまいます。
だからお母さんは
「あの子はできるのに、何であなたはできないの!」
「何でこの子はこんなに弱いの」
「何でうちの子だけこんなこと気にするの?」
「みんなちゃんとやってるよ、あなただけおかしいよ」
「こんなことだと世の中渡っていけないよ」
と、焦ってしまうのです(涙)
よくわかります。
そうならないお母さんは、いないと思います。
私も過去何度そう言ったか、わかりません。
書きながら、泣けてきます。
それだけ真剣に子供と向き合っているのです。
また、親が子供を認めて安心感を与えていても、周りの人が、「それは甘やかしだ」と言う、HSC子育ての、つらい現状があります。
「優しすぎるからこうなるんじゃない? もっとビシッと言えば言うこと聞くよ」という、その子に合わない指摘や、「本当はお母さんに甘えたいだけなんじゃない? こうしたら?」(実は家での甘えが足りてないんじゃない?)というアドバイスなど、お母さんもいろいろ試してきて今の方法をやっているだけなのに、子育てのことに関しては、周りから浮いてしまう一方です。
どちらにしても、子どもの行動が異常、ふつうじゃない、ということを言われているので、お母さんは傷ついてしまうのです。
だけど、HSCの「ふつう」は、他の子の「ふつう」とは違う。
だから私たち、HSCを育てる人は、エレイン・N・アーロン博士の子育てのモットーを、生涯胸に刻まないといけないのだと思います。
「他とは違う子の親になるなら、
他とは違う親になる覚悟が必要です。」
がんばろう。
仲間はたくさんいます。
◆太田知子(おおた・ともこ)◆
1975年、東京都生まれ。主に子どものイラストを中心に描くイラストレーター。小学生と中学生の2児の母。
著書『子育てハッピーたいむ ななとひよこの楽しい毎日』1~3。『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち』1~5。『HSC子育てあるある うちの子は ひといちばい敏感な子!』。