先日、家族のグループLINEに、離れて住んでいる中学生の娘から、メッセージが届きました。
「私のいいところを、5つ以上あげなさい」
突然差し出されたお題。
でもなんだか楽しそう! よーし!
主人と、私と、次女で、頭を突き合わせて、一生懸命考えて書き出しました。

「相手を笑顔にしようとがんばるところ」

「悲しい気持ちの人によりそうところ」

「友達を大切にするところ」

「勇気があるところ」

「家族思いのところ」……

今まで娘のいいところをわかっているつもりでしたが、改めて、文字に書き出すということは、とても意味のあることでした。
書いているうちに新たな気づきもあったり、思った以上に、自分の心に大きな影響がありました。
人はポジティブなことを考えると、幸せになるようにできているようで、50個くらい書き出した頃、心がぽかぽかと、満たされた気持ちになっていることに気がつきました。
相手のよいところを見つけるということは、自分のよいところを見つけるということと、同じなのかもしれません。

長女から、感謝の言葉とともに、意外にも、妹が「かっこいいところ」と書いてくれたことがいちばんうれしかった、とメッセージが返ってきました。
自分では、そんなふうに思ったことがなかったからだそうです。
人に聞くことで、自分では気づいていなかった、思いがけない価値を見つけることができて、とてもよかったです。そしてお礼に、家族のいいところを、それぞれ山のように書いて送ってくれました。

うちの子どもたちは、2人とも、HSC(ひといちばい敏感な子ども)で、ほめられることに、ひといちばい強い影響を受けます。

学校で、先生にほめられたことは、どんなに小さなことでも、とてもうれしそうに報告してくれますし、もっとほめられるようにがんばろうと、どんどん明るく前向きになります。そして、このほめられた経験は、一生忘れられないくらいの強烈な記憶になると思います。

人は、他人から「あなたは◯◯な人だ」と言われると、実際にそのとおりになってしまう傾向がありますが、HSCは、特に顕著です。
だから、HSCの子育ては、「ほめる」ということがキーワードといってもいいくらいだと思っています。
でもこれが難しい!
今回のお題は、とてもいい機会になりました。

HSCは傷つきやすく、いつも不安を抱えているように思われますが、一方では、よい経験により強く反応し、素晴らしい可能性を秘めている子どもたちでもあるのです。

 

◆太田知子(おおた・ともこ)◆

1975年、東京都生まれ。主に子どものイラストを中心に描くイラストレーター。小学生と中学生の2児の母。
著書『子育てハッピーたいむ ななとひよこの楽しい毎日』1~3。『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち』1~5。


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