温泉に漬かって、体の芯から温まりましょう。
今回の「富山ちょこっと旅」は、温泉を組み込んだコース。一年の疲れを癒やしましょう。

(情報は取材時の内容です、各スポットの営業時間などの詳細は最後にリンク)

 

「船でしか行けない秘境の一軒宿」。その存在は知っていても、行ったことがない県民が多いのではないだろうか。

庄川峡のダム湖を進む遊覧船。通った後にはV字の波紋が広がる。遊覧船だけ利用する人も多い

11月末、その秘境に向かった。小牧ダム(砺波市)近くの船着き場で庄川峡遊覧船に乗る。船は風を切り、上流へ進む。両岸の険しい崖を見上げると、迫力があり、交通手段が一つのアトラクション。30分ほどで旅館が見えてきた。

「船でしか行けない秘境の一軒宿」として知られる大牧温泉観光旅館

大牧温泉はもともと河原にある湯治場だったが、1930(昭和5)年に小牧ダムが完成し、湖底に沈んだ。源泉を高台に引き上げ、現在地に建物を新築し、翌年に営業を再開した。特殊な立地のため、サスペンスドラマの撮影でよく利用され、廊下には片平なぎささんや船越英一郎さんらのサインや写真が並ぶ。最近はユーチューブの影響で、インバウンドも増えているそう。

一昔前は携帯電話の電波はつながらなかったが、今はWiーFiも完備。だが、せっかく〝陸の孤島〟に来たのだから、俗世のことは忘れたい(仕事で来ているのだが)。スマートフォンを金庫に入れた。

庄川峡を眺めながら入ることができるテラス風呂

明るいうちに、庄川に面した「テラス風呂」へ。ヒノキの湯船は浅く、手前側はぬるめ。ゆったり横になって湯に漬かり、眺めを楽しむ。雪景色ならば、さらに風情があるだろう。

男性用の大浴場は大きなガラスを通して外の景色が見える。ほかに露天風呂もある
富山湾のブリなどが味わえる会席料理

夕食は会席で、富山湾のブリの刺し身も味わえた。ごま豆乳鍋など品数も豊富で、食事にも満足。

広々とした和室

部屋に戻る。静寂の時。持ってきた文庫本を開く。何も予定がないのが、ぜいたくな時間だと思う。温泉のおかげだろうか。体がずっとぽかぽかとしている。

(ゼロニイ編集室ハママツ)

撮影:南部スタジオ