
この店はとにかくマーボーナスがおいしい-。そう聞いて訪ねたのは、富山市清水町の東華園。ナスのジューシーさは天下一品だ。しかも、ナス炒めがたっぷり載った焼き麺やラーメンもあり、絶妙にマッチしている。豊富なマーボーナスメニューの誕生秘話を聞いた。(ちなみに月曜は定休日です)
「一日中ナスです」
いたち川沿いにほど近く、細い道沿いにある。昔ながらの中華屋といった外観に胸が熱くなる。メニュー表には野菜炒め、カニ玉、スブタ、肉ダンゴ、ニラレバー炒めなどの定食メニューがずらりと並ぶ。これでもメニュー数は往年の3分の2ほどに減ったという。
「うちはナス。一日中ナスです」。店を営む綿俊市(わたしゅんいち)さん(81)が笑う。注文のほとんどがナス関連メニューとのこと。マーボナスラーメン、マーボナス焼麺はミニライス付きで950円。ナスビ丼、麻婆ナス炒めもある。

創業は昭和50年
創業は1975(昭和50)年5月1日。あと2年でちょうど50年になる。東京で修業し、富山市総曲輪の店で10年働いた綿さんが「自分の店を持とう」とこの地に開いた。
綿さんは旧新湊市出身で、家業は紳士服の仕立てだった。紳士服の修業で東京に出たが、途中で料理に転換した。理由は「なんとなく」と綿さん。現在、綿さんと二人三脚で店を切り盛りする妻の久美子さん(78)によると、ミシンの腕はかなりのものという。
久美子さんは「店の名前を売るために何でもしたね」と振り返る。オードブルや弁当を作り、出前をした。「弁当一つやラーメン一つの注文でも出前した。とにかく店の名前を覚えてもらおうってね」

お客さんからリクエスト
豊富なナスメニューが生まれたのは30年ほど前のこと