Bリーグ1部(B1)の富山グラウジーズで今季、練習生から選手契約を勝ち取った葛原大智と鎌田隼には、バスケを高い水準でプレーしてきた弟がいるという共通点がある。鎌田の弟、真はBリーグ在籍7シーズン目で、今季は名古屋Dに所属。葛原の弟、海都は関西大学リーグ1部の立命館大で主将を務めた後、競技を離れている。先の見えない練習生という立場を脱することができた背景には、家族のバックアップがあった。

葛原(写真左から3人目)は大阪戦を終え、高校の同級生である青木保憲とハグ。鎌田(同1人目)は、通訳でなく選手としてあいさつを交わす

富山グラウジーズ記事一覧

茨城撃破、葛原が守備で貢献

 11月2日、富山は茨城に96-86で勝利し、連敗を5で止めた。試合の決め手となったのは第3クオーターの攻防。前半を2点リードで終えていた富山は、葛原を後半開始からコートに送り出した。約6分が経過し、葛原がベンチに下がる際、点差は11にまで広がっている。葛原は無得点だったものの激しいディフェンスを見せ、富山が主導権を握る重要なキーとなった。

 葛原は大東文化大4年だった2018年1月、富山に特別指定選手として加入した。当時から守備面で存在感を発揮する一方、攻撃センスも十分備えており、18-19シーズンの3ポイントシュート成功率は序盤20試合終了時点で50%を超えていた。

特別指定選手時代の葛原。攻守両面で富山に新風をもたらした=2018年

 今季の葛原は12月5日時点で9試合に出場し、シュートを3回しか放っていない(成功1で総得点2)。出場時間が少ないことを差し引いても、攻撃時はパスの中継役という印象が強い。富山の練習生になる前シーズンは佐賀、その前のシーズンはFE名古屋に葛原は所属した。その2シーズンを、葛原は「チームについてではなく、個人として最悪な2年でした」と表現する。

元富山・宮永からの誘い

 19-20シーズンがコロナ禍で途中終了となり、富山との契約が満了になった葛原には、他チームからオファーがあったという。その中で、葛原の心を一気に引き寄せたのは宮永雄太からの誘いだった。

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