「東山魁夷(かいい) 唐招提寺御影堂(みえいどう)障壁画展」 
富山県美術館で11月7日(日)まで 

80メートルに及ぶふすま絵の大作を紹介する「東山魁夷(かいい) 唐招提寺御影(みえいどう)堂障壁画展」が、11月7日まで富山県美術館で開かれています。 

描いたのは、日本画家の東山魁夷さん。亡くなって20年以上過ぎた今も多くのファンがいる巨匠です。ふすま絵は晩年の代表作で、唐招提寺(奈良市)の御影堂に納めた作品です。普段は非公開で見ることができないとあって、連日、大勢の人が足を運んでいます。 

御影堂がある唐招提寺は奈良時代、中国から苦労して日本に渡ってきた高僧、鑑真(がんじん)が開いたお寺です。東山さんは日本の仏教の発展に尽くした鑑真への思いを込め、63歳から約10年かけて5室に68面もの絵を完成させました。 

親子鑑賞会には、親子合わせて21人が参加しました。新型コロナウイルスの感染対策のため、まずみんなで解説を聞いてから、自由に会場を回ることにしました。説明してくれたのは美術館の学芸員、遠藤亮平さんです。お話の中から作品を楽しむポイントを紹介します。 

鑑真に見せたい光景を描く 

「東山さんが御影堂に描いたのは、鑑真和上に見せてあげたい光景なのです。何度失敗してもあきらめず苦労して日本にやってきた鑑真和上への思いが伝わってきますね。山と海をテーマに日本各地を写生して回りました。富山県の黒部峡谷も訪れています。ふすま絵の一つ「山雲」は富山の取材イメージが反映されています」 

集大成と新たな挑戦 

「美しい風景画で知られる東山さん。日本海を表現した『濤声(とうせい)』、渓谷美をとらえた「山雲」の二つは、いわば、集大成のような作品。一方で中国の美しい景色を題材にした『黄山暁雲(こうざんぎょうん)』『揚州薫風(ようしゅうくんぷう)』『桂林月宵(けいりんげっしょう)』は、水墨画の作品です。実は東山さんが初めて取り組んだ水墨画で、巨匠の新たな挑戦なんです」 

 

展示室に入ると、参加者から「おおー」「すごい」の声が上がりました。何枚ものふすま絵が、部分的に御影堂を再現して飾られているからです。まるでお寺の建物の中に入ったようです。描かれているのは、波音が聞こえてきそうな日本の海だったり、奇妙な形の岩が並ぶ中国の山の景色だったり…。大作を目の当たりにした子どもたちの感想を紹介します。 

「濤声」
波が静かに打ち寄せる海の風景 

■感想(中学2年女子)作品の大きさに圧倒されました。しかも、波が動いているように見えてきて、耳を澄ますと波音まで聞こえてきそうでした。ただただすごい!と思いました。 

 

「山雲」
黒部も取材した渓谷の景色

■感想(小学4年女子)青色がとてもきれいでした。よく見たらいろんな青が使ってあってびっくりしました。自分は絵を描くのは好きじゃなかったけど描いてみたくなりました。 

 

「揚州薫風(ようしゅうくんぷう)」 
鑑真の故郷を描いた水墨画 

■感想(小学6年男子)授業で水墨画を描いたことがあるけど難しかった。東山さんは初めての水墨画だというのに濃淡をうまく使っていて、墨なのに幾つも色を感じました。 

 

 

【お出掛けメモ】 
「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」 
■会期…11月7日(日)まで 
■会場…富山県美術館 富山市木場町3-20 
■TEL 076-431-2711 
■開館時間…9:30〜18:00(入館は17:30まで) 
※11月5~7日は夜間延長し、9:30〜20:00(入館は19:30まで)
■休館日…11月4日(木) 
■観覧料…一般:1,500円、大学生:1000円、高校生以下無料
■駐車場…美術館の駐車場は台数に限りがあり、混雑が予想されます。お越しの際は公共交通機関をご利用いただくか、満車の際は周辺の駐車場をご利用ください。