歌川広重 二つの東海道五拾三次展
高岡市美術館で8月30日(日)まで

 江戸時代の浮世絵師・歌川広重(1797~1858年)の代表作「東海道五拾三次」の、すべての宿場を二つの版と写真で楽しむことができる「歌川広重 二つの東海道五拾三次」展が、高岡市美術館で開かれています。今回の親子鑑賞会は “新しい生活様式”として、展覧会を担当する学芸課長の瀬尾千秋さんに見どころを聞いてから、家族ごとに展示室へ。ゆっくり旅気分を味わいました。瀬尾さんの楽しい解説をご紹介します。
 

東海道五拾三次ってなに?
 東海道とは、江戸・日本橋から京都・三条大橋を結ぶ街道のことです。「東海道五拾三次」では、東海道にある53の宿場とスタート地点の日本橋、ゴールの三条大橋を加えた55の風景が描かれています。東海道には景色がきれいな所がたくさんあり、今でも観光地として有名な場所もあります。

 この約500キロの道のりを、昔の人は歩いて旅をしました。飛脚なら3日半とも言われますが、普通の人は11~21日ほどかけ、宿に泊まって、街でおやつを食べたり、景色を見たりしながら歩いたそうです。

一番の難所は大井川
 街道で最も大変だったのが、大井川と言われています。橋がなかったためです。「嶋田宿」や「金谷宿」を見ると、橋を渡す人に肩車をしてもらったり、かごみたいのに乗って運んでもらったりする旅人が描かれています。

旅ブームで大ヒットシリーズに
 江戸時代後期、人々の間で旅ブームが起きていたこともあり、東海道五拾三次は大ヒット!広重は生涯で20種類以上の東海道名所絵シリーズを描きました。作品は多くの人が楽しめるように、木版画にして出版しました。「保永堂」や「丸清」は、出版社の名前です。今回展示している保永堂版は広重が37歳、丸清版は53歳の時に制作したもの。今回は、宿場ごとに二つの版と、大正時代と現代の写真をセットにして展示しています。
 

二つの版を比べると…
二つの版は同じ場所を描いていても、絵の主役が違っていたり、描く目線が違っていたりすることが分かります。例えば―

 (写真左)由井宿【丸清版】
(写真右)由井宿 薩埵(さった)嶺【保永堂版】
保永堂版は、海越しに富士山を望む美しい景色を描いているのに対し、丸清版は景色(富士山)を見ている人を描いています。絵の主役が違います。

■旅気分を味わうための鑑賞ポイント■


①ワンコと殿さまを探せ!
「38藤川」大名行列を前に頭を下げる旅人の横で、ワンコたちがじゃれあっている!
「44四日市」旅行に行けない人に代わってワンコが伊勢神宮に?! 

 

②有名な景色を見つけよう!
江戸から尾張までの間に時々、富士山が描かれています。色も大きさもいろいろ。

③おいしいものいっぱい
 おまんじゅうを食べる旅人が時々登場します。よく見ると、店先の看板などに名物の名前も書かれています。

④天気、時刻、季節は?どんな音がする? 
 雨が降っている場面もたくさんあります。しとしと?ザーザー? 

⑤文字が隠れている!
 絵のように見えるけれど、実は文字です。これを探せるとスゴイ! 

■参加者の感想■
小学6年男子:大井川の絵が面白かった。旅人はいろんな方法で川を渡っていて、表情もいろいろだった。
小学3年男子:文字を探しながら見た。学校で版画を作ったけど、展示してある作品は、手で描いたみたいに細かくて、版画とは思えなかった。
ママ:版画の制作工程が分かりやすく解説されていて、十数枚の版を刷っていく工程が面白かった。
 

【お出掛けメモ】
歌川広重 二つの東海道五拾三次展
2020年8月30日(日)まで
■会場 
高岡市美術館
高岡市中川1丁目1番30号
電話0766(20)1177
https://www.e-tam.info/

■開館時間 
9:30~17:00 (入館は16:30まで)
月曜休館

■観覧料
一般 1000円(団体・シニア割引800円)
高校・大学生 500円(団体400円)
小中学生 300円(団体・土日祝減免240円)
親子券 1100円(大人1名と小中学生2名までのセット券)