残暑が厳しかった今年の夏ですが、ここにきて駆け足で涼しくなりました。

我が家の2学期からの新天地は、今までとは打って変わって、ど田舎です。

ここでは家の中から、牛が草を食む音が聞こえます。
牛は、山の草をきれいにしてくれるというので、地区のみんなで飼っており、その牛が家の前までやってくるのです。
牛を眺め、庭のコイに食べ残したご飯を撒くのが、至福のひとときです。

新学期が始まり、新しい環境に緊張していた子どもですが、優しい先生に友達、ご近所さん(といっても隣の家は果てしなく遠い)に囲まれて、とても安心してスタートすることができました。

さて、夏休み明けの校長先生のスピーチが、まるでHSP(ひといちばい敏感な人)の私のためのお話のようで、とても感動しましたので、少々紹介したいと思います。

「こんぺいとうって知っていますか? デコボコしていて、同じ形はひとつもないんですよ。」
と、校長先生は言われました。

「それと同じように、私たちはみんな違うし、誰にでも、得意なことと、頑張ってもどうしてもできない、ということがあります。」と穏やかに説明していきます。

校長先生にも、どうしてもできないことがあるのだそうです。

それはお酒が一滴も飲めないこと。
「みんなはまだわからないかもしれませんが、大人になると、お酒が飲めないと苦労する事がたくさんあるのです。
そんな時に、『どうして飲まないの?』とか『少しぐらいいいじゃない。』と言われるととてもつらい気持ちになります。」

しかしある日、こういう風に言ってくれる人がいて、校長先生は心から安心したそうです。その言葉とは、

「それがどしたん?」それくらいどうってことないよ、というメッセージでした。

そして先生は続けます。

「人はみな、できることとできないことが違うけれど、できない人に対して『それがどしたん?』と言える人になってください。
そのためには、相手を知って、相手をわからなければ、伝えることができません。

『それを学ぶところが、学校なんです。』

2学期は、色とりどりのこんぺいとうのような子どもたちが、人と違うことを気にしなくていい学校を目指したいと思います。」

ハッキリと言って先生は話を締められました。

「みんなちがって、みんないい。」

金子みすゞのこの一言は、人と違う感性を持つHSPにとっては特に、大切な言葉です。
「こんな風に感じるなんて、自分はおかしいのだろうか。」と、いつも肩身の狭い思いをしていますが、そう感じるのも、まぎれもない私。完璧な丸になれない自分を嘆く必要はありません。どんな人も、こんぺいとうのようにデコボコしていて、全て含めて素敵な個性なのです。

こんなスピーチを全校集会でしてくれるこの学校は、本当に素晴らしい。
私も、世界にひとつだけのこんぺいとうを、一段と大切にしたくなりました。

◆太田知子(おおた・ともこ)◆

1975年、東京都生まれ。
主に子どものイラストを中心に描くイラストレーター。
小学生と高校生の2児の母。
著書『子育てハッピーたいむ ななとひよこの楽しい毎日』1~3
『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち』1~5
『HSC子育てあるある うちの子は ひといちばい敏感な子!』