東京で開催されたトークイベント「ひといちばい敏感な親子(HSC・HSP)へのハッピーアドバイス~自己肯定感を育み、幸せに生きるために大切なこと」(1万年堂出版主催)では、HSC・HSPの国内第一人者、真生会富山病院心療内科部長で「子育てハッピーアドバイス」シリーズ著者の明橋大二先生と、とかちむつみのクリニック医長、長沼睦雄先生が、HSCの育て方や特徴を分かりやすくお話されました。
今回は、お二人による質疑応答の様子をご紹介します。
明橋 休みが絶対に必要です。周りの人のサポートを受けてください。周りの人が難しければサービスや支援を、罪悪感を感じずに使ってください。
長沼 トラウマは世代間に受け継がれること多い。気付いていない場合が多いが、苦しんでいる自分自身も、親によって苦しめられている。相談を受ける私たちは、親を先に診察します。親が良くなると、それだけで子どもの症状が良くなることがあります。親は子どもの安全基地でなければいけません。「親の自分が先に」とはなかなか考えられないかもしれませんが、やはり考え方を変えていかなければいけません。
明橋 不機嫌だったり、ピリピリしたりする人がいるだけで、HSPは疲れてしまいます。上司に相談し、席の移動、異動などを話してみましょう。難しい場合は、仕事の振りをしてイヤホンを付けるなど、物理的な壁、境界線を設けるしかありません。
自分が弱いから、自分がわがままだからと思いがちだが、身体症状が出ているということは、限界だということ。自分を守ることは悪いことではありません。
長沼 強い相手、悪い相手は避けましょう。危険がない場所に行くことも大事ですが、人に頼っていくことも安全につながります。
明橋 HSCの不登校の相談はとても多いです。
子どもが自分を出せるようになったのは、自己肯定感が回復したから。これは親子の信頼関係があるからでもあります。フリースクールに通っているのなら、勉強する時間はあるはず。家は休む、ほっとする場所。そこでゲームをするのは大目に見てもよいのではないでしょうか。ただ見守るのではなく、肯定的に見守ることが大切です。
長沼 親子とも敏感の場合、親の不安が子どもの不安になり、子どもが自分を出せなくなるケースがあります。親は子どもに、正論や常識を押し付けないことが大切です。
明橋 幼稚園で、何かつらいことがあったのでは?
担任や園長に子どもの特性を伝え、行きやすい環境づくりを進めましょう。それでも行けないようなら、子どもの意見を尊重することは決して間違っていない。理解してくれる人も必ずいます。よそはよそ、うちはうち。
小学校になったら、フリースクールやホームスタディなど学びの形は広がります。米国ではHSCを支援する際には、まず先生たちにHSCの講義をし、親同士でグループを作って安心して勉強できる場を設けています。
長沼 家族で煮詰まらないようにすることが大切。家族は力関係ができています。なので、受け入れて離れる。逃げるのではなく。そして自分を高める。
具体的には、相談者を得て、苦しい言葉を吐き出し、自分を変えて、相手が追い付かないようにするということ。家族関係で苦しむ方は、いったん離れて治療をし、自分を高めます。そして戻るとうまくいくケースがあります。
明橋 ひといちばい敏感な人がいることを理解している医師はきっといるので、そこで受診しましょう。またHSCの人同士の会、当事者の人が集まる場に参加することも有効です。HSP・HSCについて、まだ知らない人はたくさんいます。当事者の側から地域で活動し広めていっていただきたいと思います。