1月に発生した能登半島地震から、半年が過ぎようとしています。地震後、皆さんの家庭では災害対策にどのような変化がありましたか? 今回は、「避難生活に必要な備えや心構え」の中でも、女性の目線に立った対策やお子さんがいる家庭ならではの備えについて紹介します。アドバイスをいただいたのは、ケーブルテレビ富山で防災番組を担当し、5歳児のママでもある防災士の鈴木佑実さんです。

小さいお子さんがいる場合、「避難所に行きづらい」と感じる人もいて、自宅での避難生活を選択する場合があります。

その際、自宅が本当に安全か、まずはしっかりと確かめましょう。散らかった部屋を片付けたくなりますが、強い地震が続く場合があるので、しばらくそのままにしておいた方がいいと個人的には思います。

災害時、在宅避難をする可能性があるならば、事前に1週間分の備蓄をしておくことをお薦めします。備えは0~3次まであり、フェーズごとに用意する物は異なります。

「自分にとって」必要な物を用意

備蓄品をそろえる際に一番大切なのは「自分に必要な物は何か」を考えることです。

妊婦の方は入院バッグに防災グッズを追加したり、赤ちゃんがいる家庭は災害時にそろえにくいおむつや液体ミルクを事前に備えておいたり。これらは親がやっておくべきことです。

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持病がある方の常備薬や、人工呼吸器を使っている方のバッテリーなど、自分の命に関わる大切な物は、人に頼らず自身で確保しておくことを意識しましょう。

女性の生理用品は多めに備蓄

能登半島地震後、珠洲市の避難所では水を循環させて使うシャワールームが設置されていました。生理中は入れなかったり使えるせっけんが決まっていたり、制約があったようです。

緊急時はお風呂やトイレが思うように使えず不衛生になり、ぼうこう炎を発症してしまう人がいます。そうなる前に、携帯用ビデや使い捨てショーツ、生理用ナプキン、おりものシートを日頃から多めに備えておくと役に立ちます。

一番手軽なのは生理用ナプキンやおりものシートをショーツに取り付け、こまめに取り換えれば、衛生面が保たれるとともに、洗濯の回数を減らすことができます。

子どもが不安そうにしていたら

災害時、普段と異なる環境に置かれた子どもたちには強いストレスがかかります。

テレビやスマートフォンから流れる大きなアラート音は、大人でもどきっとしますよね。地震後、子どもがおねしょをするようになった、という声も聞かれます。

子どもが不安そうにしていたら、まずは「大丈夫だよ」と声をかけ、抱きしめてあげたり、分からないことも含め、今起きていることをを伝え、子どもの気持ちに寄り添ってあげたりしてほしいです。

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最近は、小さい子に地震の仕組みを分かりやすく伝える防災絵本もあります。(例:地震は地球がくしゃみをしちゃうんだよ、というような内容)。そのような本を事前に読んであげておくことも一つの心構えになるかもしれませんね。

プレママや赤ちゃんがいる家庭は

お子さんやおなかに赤ちゃんがいる妊婦さんは、災害時に特別な配慮を必要とする人(災害弱者)と言えます。避難所では遠慮せずに「妊婦です」と周囲に伝えましょう。これは自分と赤ちゃんを守るために必要な声かけです。

乳幼児を連れて避難をする際は抱っこひもをお薦めします。液状化や道路の陥没で、思うように歩けない可能性があるためです。

小さいお子さんがいる場合や妊婦の方は、少しオーバーであっても、明るい時間帯に早めに避難する心構えでいるといいと思います。

乳幼児のお子さんがいる場合の備えや、紙コップでミルクをあげる方法などを解説した動画「赤ちゃんの防災」が、ケーブルテレビ富山のYou Tubeで公開されています。

鈴木佑実(すずき・ゆみ)1989年、静岡県生まれ。富山県防災士会所属。NHKキャスターを経て2022年からケーブルテレビ富山勤務。命を守る防災情報をシリーズで伝える「防災スイッチON!とやま」の番組ナビゲーターとして、富山の防災情報を取材・発信している。

防災スイッチON!とやま
コミチャン9ch 毎日7:30/17:30ほか
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