元日に発生した能登半島地震。突然の揺れと津波警報に戸惑い、日頃の備えの大切さを痛感した人も多いのではないでしょうか。あの日を振り返り「本当はどうしたらよかった?」と考えるコノコトレポーターの声に応えます。アドバイスをいただくのは、ケーブルテレビ富山で防災番組を担当し、4歳児のママでもある防災士の鈴木佑実さんです。

初回は津波対策を考えます。

ママ防災士として活躍する鈴木さん
レポーターの声

富山市の自宅で地震に遭い、すぐに子どもの元に駆け寄りました。課題に感じたのは状況把握。テレビがない部屋にいたので、X(旧twitter)で情報を集めましたが、SNSは間違った情報も多く、正しい情報を素早く受け取れるように準備しておきたいと思いました。

特に自宅が津波の避難対象なのか知りたいです。友人は車で避難したところ、渋滞で進めなくなったそうです。渋滞を避けて避難する方法はありますか。

迷いが命取り!避難ルートは事前に想定

鈴木さん(以下同じ):今回の地震は津波警報が出て、怖い思いをされた方が多かったと思います。日本海側の津波は到達時間が早いのが特徴で、今回も富山市草島の富山検潮所では地震発生から3分後に第1波を観測しました。迷いが命取りになる可能性もあります。事前にハザードマップを確認して避難場所や避難ルートを決め、家族単位で避難訓練をしましょう。普段子どもとお散歩する際に、逃げる道に危険個所がないか確認しておいてください。

富山市の津波ハザードマップ(地区別詳細図、同市HPより)。県内では臨海部の7市2町が作成している

今回は元日ということもあり、おでかけ先で地震に遭った方もいるでしょう。国土交通省のサイト「重ねるハザードマップ」は、住所を入力すれば、その土地の災害リスクを確認できます。ぜひブックマークをしておいてください。

階上への「垂直避難」も視野に

津波の際は徒歩避難が原則と言われています。小さいお子さんは抱っこひもで、歩けるお子さんは手を引いて、速やかに高台を目指して避難しましょう。一刻を争う場合は、階上へ逃げる「垂直避難」も視野に、最善の策を取ってください。限られた時間の中で逃げられる高台、建物を普段から想定しておくと落ち着いて行動できます。

画像提供:PIXTA

お子さんが2人以上の方は、特に避難が大変だと思います。家族の協力を得るのが難しい場合、ご近所の方の力を借りられないか相談しておくのもいいですね。日頃からあいさつを交わすだけでも良好な関係が築けると思います。味方を増やしておきましょう。

報道機関のサイト・アプリ活用を

SNSは身近な情報を得るのに便利ですが、デマも多いので注意が必要です。テレビやラジオが手元にない場合、信頼できる報道機関や自治体のサイト、アプリを活用するのがおすすめです。こちらも普段からブックマークやダウンロードをして備えておきましょう。

次回は、避難時のポイントについて考えます。

鈴木佑実(すずき・ゆみ)1989年、静岡県生まれ。富山県防災士会所属。NHKキャスターを経て2022年からケーブルテレビ富山勤務。命を守る防災情報をシリーズで伝える「防災スイッチON!とやま」の番組ナビゲーターとして、富山の防災情報を取材・発信している。

防災スイッチON!とやま
コミチャン9ch 毎日7:30/17:30ほか
■HP:https://ctt.ne.jp/comichan/bousai/
■YouTube:https://www.youtube.com/playlist?list=PL6_ShUmOdTom-VeIVxnPPI64A1U6SXoZc
※番組では「赤ちゃんの防災」なども取り上げている。YouTubeでアーカイブ公開中。