「犬が不安がって人のそばを離れたがらない」「飼い猫が行方不明になった」。2024年1月1日の能登半島地震ではイヌやネコも被災し、SNS(交流サイト)ではさまざまな声が飛び交った。大地震はいつどこで起こるか分からない。どうしたらペットを守れるだろう。今、取り組むべき備えを探った。

少なくとも10日分は備蓄
「ペットのための備蓄は絶対に必要。最低でも10日分以上は備えておいてほしい」
そう話すのは、富山市のNPO法人「しっぽのこころ」代表の宇多利美さん(59)だ。宇多代表は、能登半島にペット用のフードや水、トイレ用品といった支援物資を届け、被災したネコやイヌを保護し預かっている。

必ず、食べ慣れたフードを
10日分の備蓄は、ペット用のフード、水、おやつ、トイレ用品など。他には、いつも使っている毛布なども、災害時には持ち出すといいだろう。

宇多さんは「大事なのはいつも食べ慣れているフードを用意すること」と語る。普段食べていないフードだと、ストレスのたまる被災時は特に口にしてくれない可能性がある。
ストレス対策も必須
地震後、ストレスで食欲不振になるケースは少なくない。イヌだったらたくさん噛(か)めるおやつやおもちゃ、ネコなら好きなおやつなど、ストレス発散させてあげられるものを備蓄に加えてほしい。

宇多さんは過去の大災害を経験した全国の団体と連携し、避難所暮らしの住民らと連絡を取り合ってきた。「人が飲む水ですら、1月上旬は満足に配給されていなかった」と過酷な実態を語った。「特に、水とフードは多めに用意した方がいい」
キャリーやゲージに慣れさせるには…
家が住めない状態になることに備え、宇多さんは「日ごろからキャリー(ケース)やゲージに慣れさせた方がいい」と話す。そうは言っても、どうすればいいのだろう。

お勧めの方法は、キャリーケースやゲージをインテリア代わりにして、常に身近に置いておくこと。「ご飯やおやつはキャリーやゲージの中で与えるのもお勧めです。閉じ込めると怖がってしまうので、自由に出入りさせて」

影響はまだまだ長引く
宇多さんは、熊本地震を経験した団体から「影響はまだまだ長引く」と聞いた。石川県でも、当初ペットOKの避難所に入った住民が長引く避難生活の中で周りの目を厳しくなるのを感じ、「肩身が狭い」と避難所を出たという話があった。

最初は気が動転していた住民も影響が長期化すると心身ともに負担が重くのしかかる。宇多さんは「復興はまだまだ時間がかかる。これからも支援を続けていきたい」と力を込めた。