

1日目
参加者はまず滑川市の古着屋・酒場「KEIZO倉庫」へ。「富山オタクことちゃん」の愛称で知られる徳田琴絵さんの進行のもとオリエンテーションに臨みました。参加者は、「富山のことが好きだからもっと深く知りたい」「ガイドブックには載っていないような体験をしたい」「いきいきしているローカルプレイヤーからインスピレーションを得たい」などツアーへの期待感を語りました。

その後、KEIZO倉庫のオーナー・石田拓人さんがKEIZO倉庫立ち上げにまつわるエピソードを披露。大学生の時に海外一人旅育成プログラム「タビイク」を立ち上げた経験や、インドを旅する中で「帰れる場所や地元の大切さに気づく」きっかけを得たことから、「自分が誰かの旅の目的地になりたい」と、祖父・敬三さんの倉庫を改装し、今では、全国から多くの旅人が訪れることなどを紹介しました。
また、宇奈月女子化プロジェクト代表の津田奈由子さんからは、宇奈月温泉の活性化に向けた取り組みや全国にファンを増やしている活動の話を聞きました。「活動する上で不安はなかったか」という参加者の質問に対し、津田さんは「目標を達成できない可能性を考えるより、達成するまでのプロセスを念入りに考え実行することを大事にしている」と語り、仕事に対する姿勢は参加者の共感を呼びました。
昼食は石田さんお手製のハヤシライスを食べ、倉庫内を見学。徳田さんや石田さん、津田さんと交流しました。

午後は黒部市に移動し、津田さんの案内で、黒部峡谷鉄道トロッコ電車に乗車。鐘釣駅で下車し、周辺を散策。黒部川を見下ろす展望台でコーヒーやスイーツを楽しみました。県外からの参加者は「富山ならではの昆布おはぎが食べられてうれしい」「景色がよくて感動した」など次々に感想を口にしました。

宿泊先は宇奈月温泉にあるホテル黒部。代表取締役の中島勝喜さんに館内を案内してもらい、ホテル黒部がアイドルグループ「ももいろクローバーZ」ゆかりの地として知られるようになった話を聞きました。参加者は「ももクロ」ファンはもちろん、利用客一人一人とのつながりを大切にする中島さんの姿勢に感心していました。
1日を振り返るワークショップでは、「みんなで意見を言い合ったりSNSで発信したりして、アウトプットすることが大事だと感じた」「人と人とのつながりを大事にする」「イキイキと活躍している姿に勇気をもらい、自分も行動してみようという気持ちになった」など、ローカルプレイヤーの活動やそれを支える魅力的な人柄に親近感を覚えた人が多かったようでした。
2日目

2日目の朝は中島さんの案内による散歩から始まりました。ホテル黒部から近くのやまびこ遊歩道まで歩き、秋の訪れが感じられる黒部峡谷の朝を堪能しました。

宇奈月温泉を出発した一行は朝日町へ。空き家を活用した「シェアハウス四重荘」で、朝⽇町や富⼭県の交流⼈⼝を増やすことを目的に活動する「みらいまちラボ」のホスピタリティー・マネージャー、坂東法子さんから話を聞きました。運営するシェアハウス四重荘は、1階が勉強会や交流会を開催できるようなオープンスペースとなっていて、地域の人々が集まる拠点になっています。


その後、坂東さんの案内で朝日町の海と山を訪れました。まずは山あいの蛭谷地区。バタバタ茶伝承館では、名物のバタバタ茶を体験しながら、同地区の住民との交流を楽しみました。笹川地域のさゝ川ほたる交流館は中山間地域にある古民家を改修した体験交流施設。施設周辺の里山を実際に歩いて豊かな自然を体感しました。続いて海。泊漁港周辺では建築設計・施工や地域活性化に取り組む家印株式会社の代表取締役、坂東秀昭さんから空き家を活用したまちづくりの話を聞きました。海と山に囲まれた魅力的な土地は、地元の人にとっては当たり前の存在であっても、他の人にとっては特別な価値を持つ存在になりうることを学びました。


昼食は、滑川市を拠点に拠点に料理教室などを手掛けるママーノ代表の土肥薫さんのケータリングランチを食べました。参加者は県産食材にこだわった彩り豊かな料理に舌鼓を打ちました。土肥さんは育児と家事の両立に悩んだことがきっかけでママたちをサポートする料理の仕事を始めたそう。また、漁師になるために愛知県から朝日町に移住してきた徳田聖一郎さんがその場でタイなどをさばき、新鮮な刺身を振る舞い、会場は大盛り上がり。2人が富山県で働くやりがいや、異色のキャリアに参加者は興味を持ち、次々と質問していました。


最後に、「今回の旅の魅力を伝えるキャッチフレーズをつけよう」のテーマで、2日間を振り返るワークショップを行いました。各グループで中山間地域の課題や考えられる取り組みを話し合いました。あるグループでは、「当たり前だと思っていたことが、価値になることに気付いた」「地元の魅力は地元の人にしかわからないと感じた。離れた視点から考えることで気づけるのだと感じた」といった意見があがり、キャッチフレーズを「なんでもある富山」と名付けました。別のグループでは、中山間地域で活躍しているローカルプレイヤーの事例から「関心の輪をどう広げていくか」が課題として挙げられ、「継続的に人や地域とつながり、ほかの人を連れてまた行こうと思うこと」が解決につながると話し、「人と人との交わりや交流」をキャッチフレーズとして挙げました。
中山間地域の課題を知り、海と山の魅力を楽しむ2日間は、最後に互いに感謝を伝え合い終了しました。