みらいまちラボ ホスピタリティー・マネージャー
坂東法子(ばんどう のりこ)さん

 

富山県高岡市生まれ。高校卒業後に上京。香港の航空会社の客室乗務員として13年間の勤務を経て、2020年夏に富山へUターン。同年、とやま観光未来創造塾グローバルコース修了。現在は朝日町を拠点に、建築設計・施工や地域活性に取り組む家印株式会社のスタッフや、みらいまちラボのホスピタリティー・マネージャーを務める。富山県成長戦略会議まちづくり戦略PT委員。

 

富山県朝日町における地域活性の中核組織として注目されているみらいまちラボのホスピタリティー・マネージャーとして、朝日町に訪れる人だけでなくチームメンバーにも癒やしを与えてくれると話題の女性、坂東法子さんにお話を聞きました。

ー長年海外で暮らしていた坂東さん。ふるさと富山の印象は?

学生時代は、富山には“ない”ものばかりだと思っていました。何でも揃っている都会への憧れを強く抱いていた私は、高校卒業後に上京し、更に世界を見たいと思うようになりました。ご縁があった香港の航空会社で客室乗務員として働き始めました。仕事がとても楽しくて天職だと感じていました。

しかし、13年間の海外生活のなかで次第に富山に“ある”ものを求めるようになってきました。例えば、蛇口から出るきれいな水は富山では当たり前ですが、香港では考えられません。富山の日常に“ある”資源の豊かさがふるさとへ寄せる私の想いを次第に強くし、新型コロナウイルスの流行が始まって間もない2020年の夏に富山へ帰ってきました。家族が近くにいて、美しい自然環境がある富山の暮らしは心強く、恵まれているなと噛みしめています。

ー帰国後はどんなアクションを始めたのですか?

富山県が主催する「とやま観光未来創造塾」(以下、創造塾)のグローバルコースを受講しました。将来富山で取り組みたいビジネスプランを考えるという目標のカリキュラムです。私の目標はぼんやりとしていましたが、海外生活や客室乗務員で培ったスキルを富山でどう生かせるのかがわからず、とにかく新しいことを学びたいと考えて受講を決めました。

半年間の研修では、岐阜県飛騨古川地域のインバウンド向けの宿泊施設に住み込みで観光事業の仕組みを学びました。客室乗務員の経験とはまるで違って過酷ではありましたが、これまで感覚的に理解していたことを言語化するなど、できることの幅が大きく広がりました。

ー現在はどんなことに取り組んでいますか?

現在は結婚を機に2021年に移住した朝日町を拠点に、所属しているいくつかの組織で活動しています。地域や組織内外の人と人とを繋いだり、コミュニケーションを円滑にしたり、主にサポート役を担っています。

また、空き家を活用したシェアハウス「四重荘」を朝日町にオープンしました。1階は勉強会や交流会を開催できるようなオープンなスペースとなっており、2階は住人専用のフロアとなっています。若い世代の人たちが集まる拠点としてみなさんに活用してほしいです。私としては、四重荘の寮母さんのような存在でありたいですね。朝日町を訪れる人たちの受け皿として整えていきたいです。

 

ー朝日町での暮らしのなかで、坂東さんの気持ちに変化はありましたか?

朝日町に来てからは、人との繋がりがどんどん広がっています。特に、県内外の富山にゆかりがあるメンバーで構成されているみらいまちラボでの交流を通して、“ない”ものは生み出していくという発想があることを学びました。

“従業員”としての経験が長いので、与えられた仕事を120パーセントやるという自信はあります。しかし、待っているだけでは持続可能ではないと考えるようになりました。「私は何をすればいいんですか」という受け身の思考から、「私には何ができるのかな」という能動的な考え方に変えていくことで、自分自身も周りの環境も元気になっていくことを実感できています。

 

ー今後の意気込みを教えてください。

人口1万人の朝日町は、一人一人の取り組みの力でまちが良くなる実感が持てるまちです。繋がったみなさんのお陰で、朝日町からいろんなことを実現していけそうな気がしています。創造塾の研修期間は1人で戦っていましたが、今は壁にぶち当たってもみんながいるので怖くないですね。

朝日町は、都市と比べると“ない”ものがたくさんあるかもしれませんが、まだまだ魅力が眠っている地域だと思っています。誰も見向きもしなかった地域資源を、ここだけの価値として新たに発信していくということに仲間たちと一緒に取り組んでいきたいです。

 

文・徳田琴絵(うみとやまローカルラボ ツアーコーディネーター・富山オタクことちゃん)

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富山オタクことちゃんの編集後記
これまでに、法子さんとのコミュニケーションを通してみんなの表情がやわらいでいくシーンを何度も目の当たりにしてきました。法子さんの笑顔とホスピタリティは、朝日町の大きな魅力のひとつとなっていると感じています。人が人を呼び、集まったエネルギーから生まれるこれからの朝日町の取り組みに、注目です!
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9月23日(土)~24日(日)実施の『うみとやまローカルラボ2023』夏編では、富山県東部で地域活性化に取り組む“ローカルプレイヤー”のみなさんに会いに行く学びの旅を開催します。みなさんのご参加をお待ちしております。
お申込みはこちらから(8月24日まで) ※終了しました。