今、ラジオの良さが見つめ直されています。高岡市出身のTBSラジオプロデューサー、橋本吉史さんに、深夜ラジオの魅力や意義を聞きました。

 

  ー近年、ラジオが復権していると聞きます。

 今は聞き方が多様化し、若い方はスマホで聞くことができるものと認識しているのでは。最近はインターネット音声配信のポッドキャストが一般的になっています。トークを聞くということが身近になっています。

 ー人々の交流の機会が失われた新型コロナウイルス禍に、ラジオの良さが再発見されました。

 ラジオの核と言える要素に、ぬくもりや、人と人のつながりがあります。送り手と受け手の距離が近いメディアなので。コロナ禍では、それを求めている人がいると感じました。しゃべり手がリスナーに向き合っていることが大事なことなんだろうなと思っています。

 ー深夜ラジオの良さは、どんなところにありますか。

 夜中まで起きて、一人で過ごす時間は絶対にあると思う。人が寝静まる中「自分だけが受け取れる」と思ってもらえるところが良さですね。極端なことを言うと、しゃべり手とリスナーは限りなく1対1となり、孤独が癒やされます。深夜ラジオは生放送で聞くのが一番いい。
 学生時代、深夜放送を聴いては翌日学校で友達とその話題で盛り上がりました。テレビを見ている人は堂々と話しているのに、ラジオを聴いているやつは、なぜかこそこそとしてしまう(笑)。そこに仲間意識が生まれるんですよね。ラジオによって深夜の時間を共有する醍醐味を、今の若者も感じていると思います。

 ー「深夜ラジオが好き」と公言する女性芸能人が最近目立ちますね。こっそり楽しむものではなくなってきているのでしょうか。

 星野源さんのような国民的スターがラジオを愛し、自ら深夜放送をしています。メジャーなカルチャーになっていますね。リスナーは恥ずかしがらず、推し活してほしい。番組のハッシュタグを使ってSNSで発信すれば、作り手に届きますよ。番組を好きな人とつながれますし、積極的に口コミで勧めてもらいたい!

 ー橋本さんが立ち上げ、「聴くカルチャー・プログラム」として人気の番組「アフター6ジャンクション」は、県内ではKNBラジオで放送されました。TBSラジオは、10月からの改編で時間帯を変更します。

 富山のラジオ局はぜひ、改編する「アフター6ジャンクション2」の放送をお願いしたいです!(笑)

profile
1979年生まれ。高岡高校、一橋大卒業。2004年TBSラジオ入社。立ち上げたプロデュース番組は「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」、「ランキングトークバラエティ ザ・トップ5」、「週末お悩み解消系ラジオ ジェーン・スー 相談は踊る」、「ジェーン・スー 生活は踊る」、「都市型生活情報ラジオ 興味R」、「アフター6ジャンクション」、「令和版・夜のミステリー(podcast)」、「朗読・斎藤工 深夜特急 オン・ザ・ロード」。現在はUXデザイン局・UXビジネス局コンテンツ制作部担当部長を務める。県内ラジオのおすすめは、KNBラジオの「でるラジ」。x:https://twitter.com/nakapiro