富山でおでかけを楽しみたい!
そんな声にお応えして、特定のエリアをちょこっと巡ってみました。
今回は黒部・宇奈月エリア編です。
(情報は取材時の内容です、各スポットの営業時間などの詳細は最後にリンク)
庭園は静かで、耳をすますと虫の音が聞こえる。10月初旬、JR黒部宇奈月温泉駅近くにある「松桜閣(しょうおうかく)」を訪れた。ここが旅のスタートだ。

趣のある建物は「北陸の銀閣」と呼ばれる。もともとは初代県知事の国重正文が1883(明治16)年に富山市で建てた私邸で、黒部の豪農、西田収三が移築。現在はNPO法人松桜閣保勝会が管理する。
「近江八景」をモデルにした庭園には、琵琶湖を模した池、傘形のマツなどがあり、随所に石灯籠が置かれている。どこで写真を撮っても絵になる。

次はトロッコ電車に乗るため、宇奈月へ。黒部川沿いの道を20分ほど車で上り、温泉街を抜けると、黒部峡谷鉄道宇奈月駅に着く。現在、運行しているのは宇奈月—猫又駅間の11・8km。能登半島地震の影響で、猫又から終点の欅平(けやきだいら)までは不通だ。宇奈月駅前に、地元の料理店「河鹿(かじか)」の釜飯の自動販売機があり、昼食用に「富山湾釜飯」を買う。

午前11時48分発の便に乗る。ダム湖を右手に眺めながら、トロッコは進む。峰々が連な
る「出し六峰」は黒部川から急斜面が空に延びるよう。紅葉スポットの一つで、例年の見頃は10月下旬から11月中旬という。
出発から約50分で猫又駅に到着。標高358m。気温は平野部とは大きく変わりない。猫又は日本で唯一、「猫」の名が付く駅らしい。猫にちなんだグッズも売っている。木製の展望台やフォトフレームもある。

折り返し便に乗ってからは、昼食タイム。心地よい風を受けながら、釜飯を口に運ぶと、海鮮の香りが広がる。

最後に訪れたのは「とちの湯」。宇奈月駅から車で10分。露天風呂に入ると、手前にうなづき湖が見え、奥には清水岳などが連なる。この景色が510円の入湯料で楽しめる。コスパ最強。岩に腰掛け、峡谷や流れる雲を眺める。ぜいたくな時間だ。遠くに汽笛が聞こえ、対岸の斜面を進むトロッコも見える。群馬から来たという若い男性は「こんな良い所あるんですね」と言う。同感。旅の締めくくりにふさわしい。
(ゼロニイ編集室ハママツ)
松桜閣入館料 300円
トロッコ電車運賃 2,820円
釜飯 1,450円
宇奈月駅前駐車場 1,000円
とちの湯入湯料 510円
合計 6,080円