立山黒部ジオパーク協会理事で長年、ナチュラリストとしても活動している志村幸光さんは、“上市ジオツアー”と題して、コノコトレポーターたちを案内してくれました。
※山中や川沿いは、道が細くなっています。十分に気を付けて運転してください。
※急な階段や山道もあります。動きやすい服装でお出掛けください。

①貝化石が見つかる露頭(片地地区)
上市町役場から車で約10分、片地地区の山道をぐんぐん上がった場所にあります。志村さんが「この斜面をよく見て。線が見えてこない?」と問いかけると、「あ!ここに!」「ここにも!!」と子どもたち。右下から左上へ平行に伸びる線を3本見つけました。

さらに線に沿って、所々に白いものが埋まっているのを志村さんが教えてくれました。

ママたちは「石?」子どもたちは「・・・」。そこで志村さんが、白いものを少しだけ削り取ってくれました。手のひらにのせ、じっくり観察した子どもたちは「このしましま模様は・・・貝?」「でもなんで山に貝?」と話し、疑問がどんどん膨らみます。

【解説します】かつて寒い海だった!
ここは昔々、海でした。斜面に見つけた斜めの線は、海の中で石や砂がたまった跡で「地層」といいます。地層はもともと水平でしたが、大地は長い時間をかけて動きます。このあたりの大地も、立山連峰ができる過程の中で盛り上がって山になり、地層が斜めになったと考えられます。また地層は1000万年まえ前後に石や砂がたまってできたものと推定され、この貝の種類から、当時は今の北海道くらい寒かったとみられます。
②立山寺のトガ並木(眼目地区)
眼目山立山寺(がんもくざんりゅうせんじ)の参道には、樹齢450~500年と言われる「トガ」の巨木が、約100メートルにわたって続きます。北陸では「トガ」と呼びますが、正式には「モミ」の木です。「ここは森林セラピースポット。心穏やかに歩きましょう」という志村さんの掛け声で、全員ゆっくりと歩き始めました。途中、立ち止まって木の香りを吸ったり、目を閉じて鳥のさえずりや川の音を聞いたり、自然を五感で楽しみました。


③まま子滝(釈泉寺地区)
専用駐車場から滝まで、山中の遊歩道を歩きます。わずか分ほどですが、進むにつれ道は細くなり、最後にロープを使って急な階段を下りると滝が見えてきます。落差16メートル。目前で流れ落ちる滝は迫力満点。そばには不動明王がまつられ、大きな洞穴もあります。志村さんが「昔、ここで滝に打たれて修行していた人がいたのかもしれませんね」と話すと、子どもたちは神妙な顔になり、想像を膨らませていました。

④上市川沿岸の円筒分水槽(釈泉寺地区)
上市川上流の田んぼと山に囲まれた場所に「円筒分水槽」はあります。直径は9.3メートル。水は円の中心から湧き出し、水槽側面にレースのカーテンをひいたように流れ落ち、二つの水路に分かれて流れていきます。「とってもきれいだけど、これは何?」子どもたちは不思議そうです。

【解説します】 水を公平に分ける知恵
上市川から取り入れた水を、川の右岸と左岸の村へ公平に供給するため、1951年から8年かけて造られました。それまで上市川沿岸の人たちは、豪雨の時には水害に、夏には水不足に悩まされ、水をめぐる争いが絶えませんでした。そこで各村の人たちが集まって考えたのがこの施設です。昔の人たちの苦労と知恵が詰まっています。
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