気温も高くなり、日差しも強くなってきました。夏場は熱中症予防の観点から、運動時や重労働などたくさん汗をかく場合には水分補給が重要になってきます。今回は熱中症の症状と原因をご紹介します。

「熱中症」とは暑い環境で生じる健康障害の総称で、高温多湿な環境に、私たちの身体が適応できないことで生じるさまざまな症状のことを言い、4つに分類されます。

■熱失神
皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳への血流が悪くなることにより起こります。
【特徴】めまい、一時的な失神、顔面蒼白 脈が速くて弱くなる

■熱けいれん
大量に汗をかき、水だけを補給して血液の塩分(ナトリウム)濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こります。
【特徴】筋肉痛、手足がつる、筋肉がけいれんする

■熱疲労
大量に汗をかき、水分の補給が追いつかないと、身体が脱水状態になり熱疲労の症状がみられます。
【特徴】全身倦怠感、悪心、おう吐、頭痛、集中力や判断力の低下

■熱射病
体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がみられたり、ショック状態になる場合もあります。
【特徴】体温の上昇、意識障害、呼びかけや刺激への反応がにぶい、ふらつく

暑さだけじゃない、体調、行動にも注意

熱中症は、身体の中の産熱(身体が熱を作る働き)と放熱(身体の外に熱を逃がす働き)のバランスが崩れたときに起こります。熱中症というと暑さが要因と思いがちですが、体調や行動も大きく影響しているので注意が必要です。

  • 環境要因
    気温が高い、湿度が高い、急に暑くなった、締め切った屋内
  • からだの要因
    高齢者、乳幼児、肥満、下痢、おう吐などによる脱水状態、二日酔い、寝不足などの体調不良
  • 行動要因
    激しい運動、慣れない運動、長時間の運動、水分補給ができない

特に気を付けたいのは

真夏の気温の高いとき

35度を超えると急激に発症リスクが高まると言われています

梅雨時期の晴れ間や急に暑くなったとき

身体がまだ暑さに慣れていないために上手に汗をかくことができず放熱量が低くなり、上手に体温調節できません

▼熱帯夜が続くとき

夜間も体温が高く維持されてしまうため

次回は熱中症予防対策、特に水分補給について紹介します。

◆舘川 美貴子(たちかわ みきこ)◆

管理栄養士、公認スポーツ栄養士
富山市生まれ。中京女子大学(現 至学館大学)健康科学部栄養科学科卒業。
日本スポーツ栄養学会評議員。学生アスリートやプロスポーツ選手の栄養サポートを行っている。

イラスト提供:PIXTA