体内の水分量 高齢になるほど減少

私たちの身体は体重の60%が水分です。体液や血液、唾液、消化液として体内にあります。この水分量は、胎児は90%、小児は70~80%、高齢者は50%と年齢が上がるほど減る傾向にあります。夏になると特に高齢者に熱中症への注意を呼び掛けるのは、もともと水分量が少ないため、のどの渇きを感じにくく、適切に水分補給をできない可能性があるためです。

これらの水分は

  • 身体に必要な栄養素や酸素を運ぶ
    血液として消化、吸収された栄養素を運んだり、酸素を体の隅々まで運んだりします
  • 老廃物を運ぶ
    新陳代謝で不要となった老廃物を便、尿として排出します
  • 体温を一定に保つ
    体液として体温を一定に保ち、暑い時は汗をかき体温を下げています

など、体内で重要な役割を果たしています。またこの水分には、筋肉を動かすために必要なミネラルやナトリウム、カリウム、クロール、カルシウムなど大事な成分がたくさん溶けています。

ミネラルを含まない水では、脱水は改善しないことも

では体内の水分量が減ると、どのような症状が起きるのでしょうか?
人間の身体は浸透圧が一定に維持されています。尿や汗などで水分が失われると、浸透圧が高くなり→のどが渇いたと感じ→水分補給をして、浸透圧を一定に保っています。

この時、ミネラル濃度も下がっていることがあります。にもかかわらず、ミネラルを含まない水ばかり飲んでいると、体は浸透圧を維持しようと補給した水分を尿として排出してしまい、脱水は改善しません。

水分損失率毎に体に現れる症状

次回は適切な水分補給の方法をご説明します。

◆舘川 美貴子(たちかわ みきこ)◆

管理栄養士、公認スポーツ栄養士
富山市生まれ。中京女子大学(現 至学館大学)健康科学部栄養科学科卒業。
日本スポーツ栄養学会評議員。学生アスリートやプロスポーツ選手の栄養サポートを行っている。