昭和が終わっても、ケロリン桶の存在感は薄れなかった。むしろ、ノスタルジックなアイコンとして新たな価値を獲得した。コラボレーション商品になったり、映画の小道具になったり。鮮やかな黄色いケロリン桶は単なる広告から時代の象徴になった。その知名度は薬としてのケロリンをも上回るほどだ。(敬称略)
『ケロロ軍曹』とコラボ
内風呂が普及した平成以降もケロリン桶は後景化しなかった。一般には未発売だったケロリン桶が今ではハンズ(旧東急ハンズ)やロフトで販売されている。富山駅の売店などでも土産品として売られている。誰でも手軽に買える。

ケロリン桶と、その関連グッズ
昔ながらの銭湯に行けば相変わらず頑丈な桶が活躍しているし、定期的に訪れる昭和ブームのたびに注目される。
関係者は当初、会社の広告が入った桶など売れるわけがないと思っていたが、結果として今でも毎年4万~5万個が安定して売れ続けている。銭湯は減っても、家庭のバスルームに浸透している。バスタオルやキーホルダー、サウナハットなどの関連グッズも定番化した。ヒット広告は、そのままヒット商品になったのだ。
2013(平成25)年には人気アニメ『ケロロ軍曹』とコラボした限定デザイン桶を発売。その後も『ゲゲゲの鬼太郎』や『ポケモン』など人気作品と連携した桶が話題を呼んでいる。

アニメ作品とコラボした桶
そして昭和の象徴になる
アニメにせよ、実写映画にせよ、昭和の空気を感じさせる作品では、銭湯の桶はほとんど黄色だ。
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