来年4月の開幕まで約4カ月となった2025大阪・関西万博。その関連プロジェクトに参画する立山町虫谷の和紙職人、川原隆邦さん(43)の作業を同行取材するため、建設工事が進む会場に足を踏み入れた。建設費の高騰や海外パビリオンの建設遅れなどで、あまり良い印象を抱けていなかったが「百聞は一見にしかず」との思いで大阪に向かった。

遠く立山町からトラックで運んできたコウゾの苗木を下ろす川原さん(右)。奥に見えるのが「リング」

富山からどう行くの?

 会場は大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)にある。電車でのアクセスは、来年1月19日開業の大阪メトロ中央線「夢洲駅」を利用。この駅は、大阪南港のコスモスクエア駅から3・2キロ延伸された同線の新たな終点となる。

 夢洲駅までは、JR大阪駅から乗り換えを含めて約30分。北陸新幹線金沢ー敦賀(福井県)の延伸開業で、富山ー大阪間は「最速2時間35分」なので、単純計算で富山からは最速3時間ちょっとで最寄り駅に到着できる。

 川原さんは、万博関連の二つのプロジェクトをそれぞれ企業から請け負っている。本紙でそれぞれ紹介させてもらった賓客をもてなす迎賓館のアート作品の制作と、会場内に複数設けるステージ広場の一つ「ポップアップステージ北」での和紙制作に欠かせない原料となる樹木コウゾの森づくりだ。

 今回は「コウゾの搬入作業に一緒に行きますか?」と声をかけてもらった。大阪メトロ中央線の現在の終点コスモスクエア駅で集合し、コウゾの苗木60本を積み込んだトラックに同乗する。夢洲に向かう車のほとんどは工事車両だ。各地から集まった車の多さから、途方もない数の土木建設業者や建築業者らが一堂に会した大事業だと実感する。

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