プロ野球阪神の元選手、故横田慎太郎さんの生きざまを描いた映画「栄光のバックホーム」が11月公開された。県内の映画館でも上映され、好評を博している。横田さんは病気の影響で現役引退した後、執筆や講演活動に従事し、2022年6月には富山市芝園中を訪れた。聴講した当時の同市東部中校長、折橋哲也さんは23年6月に同校で講演会を開くスケジュールを、横田さんとの間で取り交わす。しかし、講演はキャンセルとなり、同年7月に横田さんは帰らぬ人となった。折橋さんには、横田さんに直接会って掛けたかった言葉があった。

3年ぶり出場で好守備、引退飾る
ロッテなどに在籍した元プロ野球選手の父を持つ横田さん。自らも鹿児島実業高で4番エースとして活躍した。甲子園出場には届かなかったが、攻走守におけるセンスの高さでスカウトの注目を集めた。2013年のドラフト会議で阪神から2位指名を受け、外野手としてプロ入り。入団3年目には1軍デビューした。
しかし、さらなる飛躍を期した17年、脳腫瘍と診断され入院生活を送ることに。練習参加が可能となった後も、視覚面で支障が残るなどしたため、試合復帰はかなわなかった。

19年9月に現役引退を発表。同月26日のウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦で約3年ぶりの公式戦出場を果たす。打席には立たず、8回表の途中からセンターの守備についた横田さんは、相手打者が放ったセンター前ヒットを捕球すると、ホームにノーバウンドで送球。ランナーをアウトにするファインプレーを見せ、試合終了後の引退セレモニーを一層盛り上げた。
芝園中講演から学び、高校野球で成長
古里の鹿児島に戻った横田さんは、21年に自著「奇跡のバックホーム」を刊行するなど、新たな活躍のフィールドを見つけていた。22年春、腫瘍の再発がありながらも活動を継続。この頃にあった芝園中の講演では、体育館のステージに上がる際に教員の手を借りるなどしたものの、姿勢良く歩く姿はアスリートそのものだったという。講演中も映像を見せる間は着席したが、話す際は立ち続けた。
現在、富山国際大付属高の野球部で副キャプテンを務める安田健吾さん(2年)は、芝園中2年時、この講演を直接聞いた。
