2025年の競馬を締めくくるG1、有馬記念が28日、中山競馬場の芝2500メートルで行われる。大門町(現射水市)出身で、日本中央競馬会(JRA)の調教師となって5年目の小林真也(44)は、管理する7歳馬・ミステリーウェイで初の有馬記念に臨む。「競馬に関心のない方も有馬記念だけは見ていただきたい。心に響くものがあるのではないかと思います。おそらく(レース序盤から)先頭を走っている馬の調教師が富山出身ということになると思います。そのまま走り切れたらいいですね」と、逃げ戦法による勝利を、地元に向けて宣言した。

ミステリーウェイの体調を確認する小林=滋賀県の栗東トレーニングセンター

富山高専中退、北海道の牧場へ

 競馬への興味が増していったのは、大門中に通っていたころだ。競馬好きの友人と予想遊びをする中で知識を増やし、あこがれの気持ちを高めていった。富山工業高等専門学校(現富山高等専門学校)に進学後も、競馬への熱意は高まるばかりで、5年制の同校を3年で中退することを決意した。乗馬経験どころか馬に触ったことすらなかったが、求人を出している北海道の牧場を自ら探し、18歳で従業員となった。

 半年ほどを北海道で過ごした後、その牧場が福島県につくった育成施設へと転勤になり、4年以上を過ごしている。若さを買われ、馬の世話をする厩務員としてではなく、調教助手としてのスキルを高めた。2004年、JRA競馬学校に入学し、乗馬経験などを積んだ後、05年にはJRA栗東トレーニングセンター(滋賀県)の大橋勇樹調教師が運営する厩舎に配属された。

栗東トレーニングセンターの入り口には、クラシック三冠馬シンザンの像が立っている

「攻め専」として活動、調教師志す

 大橋厩舎では担当馬が決まっていて、世話や調教を担う役割だった。06年に平田修厩舎へ移ってからは、あらゆる馬の調教を手がける「攻め専」として活動するようになる。12年のNHKマイルカップ(G1)を制したカレンブラックヒルの調教助手を務めたほか、数々の重賞ウイナー馬の調教を任されてきた。

 09年から、調教師試験を受け始めた。何を転機に、調教助手から調教師を目指す心境になったのか。

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