富山市八尾町で三日三晩繰り広げられた「おわら風の盆」。開幕前から坂の町に入ってファインダーをのぞき続けた本紙カメラマンたちが、忘れ得ぬ情景や心がほっこりしたひとこまを、写真とエピソードで伝えます。

「おわら風の盆」記事まとめ

担い手の“プロ意識”

男踊りに切り替わり、舞台脇にはける女性=1日午後7時20分ごろ、福島

 越中八尾駅がある福島は初日の夜、福島第2区公民館のピロティで踊りを披露していた。正面から撮影した後、見物客も入れた構図にしようと誰もいない舞台脇に回り込んだ。

 しばらくすると、女踊りから男踊りに切り替わり、見物客の視線は男性の方に向いた。女性たちは舞台脇にはける際、客席からは後ろ姿しか見えなくなっても踊り続けた。おわらの担い手という“プロ意識”を感じた。

支える人たち

踊り手の結った髪を直す女性=2日午後5時25分ごろ、東町

 2日目は夕方まで雨に見舞われた。東町は晴れ間に町流しや輪踊りをしていたが、雨が降ると中断した。中断してすぐ「東町」と書かれた紺色のTシャツを着た女性が1人の踊り手に駆け寄り、結った髪を直した。家族だろうか。踊り手はハンカチで汗を拭いていた。残暑の中で踊りや演奏を繰り返す人たちを、支える人たちもおわらには欠かせないのだと気付かされた。

石黒 航大いしくろ・こうだい

社会部写真映像班記者

1992年生まれ、2016年入社。砺波支社編集部、社会部を経て、23年から写真映像部(現社会部写真映像班)。1歳の娘を溺愛中。

残り1721文字(全文:2345文字)