11月30日~12月1日に実施する「うみとやまローカルラボ2024ツアー秋編」で会いに行くローカルプレイヤーを紹介します。

和菓子作家
Yushi Morimatsuさん

南砺市福光で大正時代に創業し、120年に渡って地域と共に時代を重ねてきた和菓子屋「森まつ菓子舗」。家業である和菓子屋の創作技術を受け継ぎ、アートギャラリー「NOSE ART GARAGE」のアーティストとして、新たな取り組みに挑戦する和菓子作家 Yushi Morimatsuさんにお話を伺いました。

ー和菓子作家として活動をはじめたきっかけを教えてください。

以前は10年ほどアパレル業界で働いていましたが、2018年に兄(森松宏介さん)が地元でのギャラリー運営に向けて動き出したことが転機となり、兄弟で家業の和菓子屋の将来を考え始めました。和菓子とアートの融合というアイデアに難しさを感じながらも、従来の和菓子屋とは異なる挑戦ができる未来に心が躍りました。

和菓子作家として活動を始めた今、先代たちが芸術的な探求心を和菓子という形で表現していたのではないかと感じるようになりました。遠回りをしたものの、先代の創作意欲が自分にも受け継がれていることを実感しています。積み重ねてきた伝統に、現代的な要素を加えながら自分らしい表現を築いていきたいと思っています。

ーご家族や地元の環境がYushiさんの活動にどのように影響していると感じていますか?

父は家業の傍ら絵を描き、母は花を学んでいました。そして、家業が和菓子屋ということもあり、幼い頃からさまざまな色彩や色の組み合わせで新しいものを生み出す姿を見て育ちました。その影響もあって、自然と色彩豊かなアパレル業界に惹かれていったのかもしれません。和菓子作りの技術を父から学びながら、“季節”や“彩り”といったアパレルと和菓子の共通点に注目しつつ、私ならではの“食べられるアート”というアプローチで和菓子の楽しさをみなさんに感じてもらえるよう取り組んでいます。

子どもの頃には気づかなかったのですが、富山に戻ってからは、田舎ならではの美しい自然や美味しい食べ物の魅力を再認識する日々です。地域の四季折々の自然や日常の風景から得たインスピレーションを、さまざまな角度から向き合って和菓子作りに活かしていきたいです。

 

ー和菓子“職人”ではなく、和菓子“作家”という肩書にはどんな思いがありますか?

和菓子を通じてより幅広い表現に挑戦したいと考え、和菓子“作家”として活動しています。私のスタイルとしては、伝統的な練り切りにこだわらず親しみやすさを重視して、現代にも馴染みやすいポップな和菓子作りを心がけています。若い世代には伝統的な和菓子やお茶の文化が敷居が高いと感じられることが多いので、その距離感を縮めるためです。

主な活動として、和菓子の楽しさを広めるためにワークショップを開催し、和菓子を商品としてだけではなく体験としてもみなさんに楽しんでもらうことに力を入れています。これまでに、子どもたちとの和菓子作りワークショップを開催してきましたが、自由で面白い発想に触れることで自分自身も成長していると感じています。

 

ーこれからの意気込みを教えてください。

まずは県内で活動を広げ、和菓子作家としての自分の取り組みを知ってもらうことから始めていきたいです。芸術家とのコラボレーションやインスタレーションの制作など、さまざまなイベントに参加したいと考えています。

また、音楽とのコラボレーションにも挑戦します。フィールドワークで地域の音を収集し、自分たちで音楽を作って和菓子作りと融合させた体験コンテンツを企画しています。音のサンプリングやワークショップでの創作を通じて、新たな和菓子体験を提供していく予定です。

それからは店舗を任せられる仲間を見つけて全国各地に足を運びワークショップを開催したいです。和菓子を振る舞いながらコミュニケーションを交わし、より多くの人に和菓子を楽しんでもらえる場を提供できればと思います。

profile  もりまつ・ゆうし
南砺市生まれ。幼少期から自己表現に興味を持ち始める。大学進学後、アパレル業界にて色彩表現を通じてビジュアルスキルを学ぶ。現在は、家業である和菓子屋の創作技術を継承し、アートギャラリー「NOSE ART GARAGE」の和菓子作家として作品制作を行っている。「こどものように」をモットーに子供の本質的な部分を企画に盛り込みながら、ワークショップの開催や和菓子を使った新しい表現方法を模索している。
文・徳田琴絵(うみとやまローカルラボ ツアーコーディネーター・富山オタクことちゃん)
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富山オタクことちゃんの編集後記
私にとって、和菓子は“静かに向き合うもの”のイメージだったので、体を動かしたりコミュニケーションを交わしながら楽しんでほしいというYushiさんの発想がとても新鮮でした。今回のツアーではYushiさんのアドバイスのもと、旅の思い出を和菓子に込めるワークショップを行います。一人ひとりからどんな作品が生まれるのか、とても楽しみです!
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11月30日(土)~12月1日(日)実施の『うみとやまローカルラボ2024』秋編では、小矢部市・南砺市(井波・福光)で地域活性に取り組む“ローカルプレイヤー”の皆さんに会いに行く学びの旅を開催します。皆さんのご参加をお待ちしております。
お申込みはこちらから(11月11日まで) ※終了しました。