「川の中州に取り残された」。8月14日夜、富山市小見(大山)の常願寺川で釣りをしていた男性が中州で孤立する水難事故があった。消防、警察が30人規模で取り組んだ救助活動は難航。通報から約4時間後の午後10時10分ごろ、県警ヘリが異例の夜間飛行に踏みきり、男性を助けた。男性はなぜ孤立したのか、救助の現場で何が起きていたのかー。関係者の話を基に振り返る。

常願寺川の中州に取り残された男性を救助した県警ヘリ=14日夜、富山市小見(大山)

中州からスマホで通報

 「釣りをしていたら水かさが急に増え、中州に取り残された。助けてほしい」

 14日午後6時20分ごろ、中州にいるという40代男性本人から、スマートフォンで119番があった。通報の10分後、消防隊が現場に到着。県警とともに救助活動を始めた。

 「富山市大山地域で水難事故」との情報を受け、記者も市中心部の北日本新聞本社から、約30キロ離れた現場に車を走らせた。

 目的地に着いたのは50分後。現場は、重要文化財の本宮砂防えん堤や小見小学校が近くにある山間地で、辺りは既に真っ暗だった。警察による規制線が張られ、川の近くまでは行けず、男性の姿や中州の状況をうかがい知ることはできない。男性の早期救助を願いつつ、草むらでカメラを構え続けた。

ゴムボート使えず

 その頃、救助活動は難航していた。

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