前回に続き、県内のレトロな街角を紹介するこのシリーズ。後編は県西部からスタートだ。最初に訪れたのは、「越中の小京都」として知られる南砺市城端。中心街にある善徳寺から続く今町通りは、明治時代の土蔵を利用した蔵回廊に面しており、町の顔とも言える。石垣、瓦屋根、縦格子の町屋が並び、古き良き時代を思わせる。城端曳山祭が行われる場所でもある。

善徳寺前から続く今町通り

享保年間に栄えた石段の坂

 あまり知られていないが、この地域で最も歴史が古く由緒ある路地とされているのが曹洞宗・城国寺から下る石段の坂。月刊「城端時報」の代表だった故山本哲也さんから、「城端の最盛期ともいえる享保年間のメインストリートで、この石段をたくさんの人が行き来した」と聞いたことがある。

城国寺下の石段の坂。両側には野面積みと呼ばれる石組みが残る

 今は人目につかず、ひっそりと静まりかえっている。石垣は野面(のづら)積みと呼ばれる江戸期の石組みがそのまま残され、苔むした石が長い年月を感じさせる。

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