本紙文化面の連載企画「たてものに会いにいく」は、建物の専門家である建築家をナビゲーターとして県内の建造物を巡り、魅力に迫っている。webunプラスでは、ナビゲーター自身の建築に対する姿勢など、紙面で書き切れないエピソードを紹介する。第12回は富山市の1級建築士、荒井好一郎さん。紙面では富山市小見(大山)の小見公民館を紹介してくれた。

事務所でほほ笑む荒井さん=富山市水橋山王町
荒井さんは1976年富山市生まれ。小学校では図工の授業が大好きな子どもだった。建築を志したのは、大学受験に失敗し、県内の予備校に通っていた浪人時代。何となく機械科を目指し、大学の資料に目を通すうち、図面を描いたり模型を作ったりと、手を動かして建物をデザインする設計の世界に引かれていった。
漫画に導かれ
同じ頃に偶然手に取った星里もちるさんの漫画「りびんぐゲーム」にも影響を受けた。主人公が住宅設計の道を志すコメディーにはまり「『仕事』イコール『楽しいもの』という発想がなかったが、漫画を通して建築家としての将来を考えるのが楽しくなった」。受験学科を変更し、当時、神奈川県に校舎があった職業能力開発総合大学校の建築工学科に進んだ。

土間床のリビングを設けた富山市有沢の住宅
卒業後は東京、富山の設計事務所で経験を積んだ。高岡市の創建築事務所では高岡御車山会館の設計に携わった。2013年に独立し、
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