周囲の人へ思いはせる機会に
会社員だった頃、高岡に出張する機会がありました。真冬の北陸に仕事用のパンプスで向かってしまった私は、新高岡駅からイオンモールに直行してレインブーツを購入。今でも雨の日には現役で使っています。営業先でいただいた温かいお茶と甘金丹がとてもおいしかったなぁ…という、恥ずかしくも懐かしい思い出があります。
能登半島地震で被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。現実でこのようなことが起こったときに、小説の力というのはなんてちっぽけなんだろう、いや力なんて少しもないんじゃないか、と考えてしまいます。実際、そうなのでしょう。それでも私は書き続けることしかできません。が、この作品の中ではせめて、近くにいても離れていても、また周囲でどんな事態が起こったとしても、常に不思議な力でなんとなく繋がっている家族というものの姿を等身大に描き、読者の皆様がご自身の家族や身の回りの方々に思いをはせるきっかけになればと願っています。
つじどう・ゆめ 1992年生まれ。神奈川県藤沢市辻堂出身。 東京大学法学部卒業。「東京大学総長賞」を受賞。2015年、第13回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞し、「いなくなった私へ」でデビュー。「トリカゴ」で大藪春彦賞受賞。「十の輪をくぐる」で吉川英治文学新人賞候補。22年には青春ミステリー「卒業タイムリミット」がNHK総合で連続ドラマ化された。
『ふつうの家族』あらすじ
大嵐の夜、郊外に一軒家を構える桜石家には、家を出た息子と娘を含む4人がたまたま一堂に会していた。家族の時間を一変させたのは、いつの間にか玄関に倒れ込んでいた若者。男は何者で、誰が中に入れたのか。腹を探り合う家族と謎の若者との奇妙な一晩が幕を開ける。
11話からはプレミアム会員対象/会員登録初月は無料
「ふつうの家族」は、webunプラスの開設1周年を記念した特別企画。全360話(予定)で、3月1日から1日1話ずつ掲載します。10話まで誰でも読め、11話以降はプレミアム会員対象となります。プレミアムは、webunプラスの全ての記事、サービスを利用できる最上級プランで、北日本新聞の購読者は月々プラス420円(税込み)で申し込めます。月2000円(同)のマガジンプランでも小説を読めます。いずれも登録した最初の月は、お試し期間として料金がかかりません。プランのご案内や申し込みはこちら。
大嵐の夜、郊外に一軒家を構える桜石家には、家を出た息子と娘を含む4人がたまたま一堂に会していた。家族の時間を一変させたのは、いつの間にか玄関に倒れ込んでいた若者。男は何者で、誰が中に入れたのか。腹を探り合う家族と謎の若者との奇妙な一晩が幕を開ける。

画・伊藤健介
「ふつうの家族」は、webunプラスの開設1周年を記念した特別企画。全360話(予定)で、3月1日から1日1話ずつ掲載します。10話まで誰でも読め、11話以降はプレミアム会員対象となります。プレミアムは、webunプラスの全ての記事、サービスを利用できる最上級プランで、北日本新聞の購読者は月々プラス420円(税込み)で申し込めます。月2000円(同)のマガジンプランでも小説を読めます。いずれも登録した最初の月は、お試し期間として料金がかかりません。プランのご案内や申し込みはこちら。