走行試験で福井駅に到着した北陸新幹線の車両=2023年10月1日

 2024年3月16日の北陸新幹線敦賀延伸に合わせた春ダイヤが発表された。富山県から関西・中京方面へ向かう際は、福井県の敦賀駅が新幹線と特急の乗り換え駅となる。日本一高いとされる巨大な駅舎の内部に迫り、JR西日本が最短で8分に設定した乗り換え時間についても考えてみたい。

高さ37メートルと整備新幹線駅で最も高い敦賀駅=福井県敦賀市

 敦賀駅のある敦賀市は、福井県の中央に位置し、北は敦賀湾、他の三方は山岳が連なる。人口は約6万3千人。江戸時代から北前船の中継地として栄えた港町だ。

駅舎の屋根は市の鳥「ユリカモメ」がモチーフ

 駅舎は3階建てで、高さ37メートルは整備新幹線で最も高い。「空にうかぶ~自然に囲まれ、港を望む駅~」をコンセプトに掲げ、敦賀湾の波のきらめきを表現し、豊かな自然を感じられるデザインとなっている。

新幹線ホームから望む敦賀湾

 高層の設計になった理由について、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は「(そばを走る)国道8号と交差するため」と説明する。高さのおかげで、晴れた日は敦賀湾の海沿いが一望でき、「北陸のハワイ」と称される水島が見える可能性もあるそうだ。

3階の新幹線ホーム。床は木調タイルで、安全柵は福井県内の名所の写真を掲示

 新幹線の利用者は3階のホームに降り立つ。ホームの床は船の甲板をイメージした木調タイルだ。安全柵には永平寺や県立恐竜博物館など福井県内の名所を紹介する写真パネルが掲示されている。

北前船の帆をイメージしたコンコースの天井

 関西方面の特急「サンダーバード」や中京方面の「しらさぎ」に乗るには、2階コンコースにある乗り換え改札機を通り、1階の在来線特急ホームへ向かう。コンコースは全長200メートルと広く、天井は北前船の帆をイメージし、浮揚感のあるデザインとなっている。

敦賀赤レンガ倉庫をイメージしたトイレの壁

 コンコースには敦賀の歴史・文化に触れられる仕掛けもある。トイレは国の登録有形文化財「敦賀赤レンガ倉庫」をモチーフにした壁を採用。柱は毎年9月に開かれる「敦賀まつり」の山車の水引幕が目を引く。

コンコースの柱に掲示された敦賀まつりの山車の水引幕

 乗り換えと聞いて気が重くなるのは、学生時代に苦労した「越後湯沢ダッシュ」

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