本紙文化面の連載企画「たてものに会いにいく」は、建物の専門家である建築家をナビゲーターとして県内の建造物を巡り、魅力に迫っている。webunプラスでは、ナビゲーター自身の建築に対する姿勢など、紙面で書ききれないエピソードを紹介する。第9回は富山市の竹村建築設計事務所の竹村哲也さん。紙面では黒部市美術館を紹介してくれた。

オフィスでほほ笑む竹村さん=富山市東中野町

 竹村さんは1971年生まれ。祖父が建売住宅を企画・プロデュースする仕事をしていたことから、建物の設計は幼い頃から身近に感じていた。小学校の卒業文集には将来の夢に「建築家」と書いた。漠然とした憧れが発端だったが、大学は建築学科のある愛知工業大を選んだ。

 卒業後は富山市の住宅メーカー、アルスホームに勤務。6年後に同市の建築設計事務所「五割一分」に移り、氷見市余川のワイナリー「セイズファーム」のレストラン・ショップ棟、宿泊棟の設計を担当した。県産のスギ材を使い、建具もアルミや樹脂ではなく、木製を採用。木立の中にたたずむ建物は、シンプルな中に普遍的な美しさが光る。

改修を手がけた高岡市内の住宅。和風の廊下と室内が調和する

 2015年に独立し、竹村建築設計事務所を設立。現在は主に住宅の設計やリフォームを手がける。施主には建物をどのように使いたいか、徹底的にヒアリングするのが竹村さんのこだわり。使い勝手を

残り669文字(全文:1253文字)