体格は向上 体力は低下
子どもの体力は、昭和60年をピークに年々低下する傾向にありました。3、4年前から低下が止まり回復傾向であると言われていますが、ピーク時の体力と比較するとまだまだ低いです。
現在の子どもと30年前の子どもの体力を比較した報告では、ほとんどのテスト項目において、現代の子どもが30年前の子どものデータを下回っている一方で、身長、体重などの体格については現代の子どもが上回っています。これは、身体能力の低下が深刻な状況であることを示しており、将来の生活習慣病をはじめとした健康関連への悪影響が考えられます。
日頃の活動量低下が要因
なぜ子どもの体力は、これほど低下したのでしょうか。大きな原因としては、生活が便利になったことや生活様式の変化により、日常生活での身体活動量が低下していること。特に以下の3つの“間”が生活、遊びの中から減ったことが直接的な原因として考えられます。
- 学校後の学習時間の増加による、外遊びやスポーツ活動時間の減少
- 空き地、公園、生活道路といった子ども達の身近な空間の減少
- 少子化により、同世代や近隣の遊び仲間の減少
ですから、この3つの間を取り入れる工夫を行うことで、体力の改善が期待できます。
まずは体力測定から
では、子どもはどのくらいの体力が必要なのでしょうか?
運動の基本的な能力である「走る・投げる・跳ぶ」要素について実際に測定をしてみましょう。

走る

投げる

跳ぶ
詳細な評価基準については年齢により違いがあるので下記ホームページよりご確認ください。
http://youji-undou.nifs-k.ac.jp/check.html
小学生
https://www.recreation.or.jp/kodomo/current/test.html
なお、評価はあくまで現在のお子様の状況を把握することが目的であり、現時点でお子様の今後の運動能力について判断するものではありません。
これまでシリーズでもお話してきましたが、子ども達は無限の可能性を秘めています。これからの体力・運動能力向上のための一歩を踏み出すための現状把握の意味でご活用ください。(おわり)
◆小川耕平(おがわ・こうへい)◆
富山福祉短期大学幼児教育学科講師・NPO法人笑顔スポーツ学園理事長
短大教員として学生に幼児体育や運動遊びについて指導する傍ら、幼児向け運動教室の講師やスポーツ少年団の監督も務める。スポーツ愛好家への健康・体力づくり指導や、富山県出身のオリンピック・パラリンピック選手へのサポートも行う。