子どもがどうも、他の子と違うところがある。
でも、ADHDやアスペルガー、自閉スペクトラム症などの発達障害にも当てはまらない。
いろいろ調べているうちに、HSC(ひといちばい敏感な子)という言葉にたどり着いて、とてもしっくりきた。
振り返ってみると、子どもの行動の一つ一つが腑に落ちる。
そうしていくうちに、実は、自分もHSP(ひといちばい敏感な人)だったことに気がついた。

こうして、子どもを通して自分がHSPだと知らされたという方が、意外とたくさんいらっしゃいます。
 
ひといちばいの敏感さは遺伝の要素が大きいと言われているので、子どもがHSCの場合、もしかしたら親もHSPかもしれません。

親がHSPである場合、自分のことだけでも、パニックになっているのに、その上、子どものこともとなると、頭がパンクしてしまい、許容量をとっくにオーバーしながら、崩壊寸前まで頑張ってしまう、というケースが少なくありません。 
  
更に、HSPは、自分に厳しく、完璧なお母さんを目指してしまう性質があるので、育児に自信をなくしてしまうことが多くなりがちです。

「自分がお母さんでなければこの子はもっと幸せになれたのに」と、子どもが小さい頃は、私も、自分を責めてばかりいました。
  
また、子どもがいつまでも泣き虫だったり、怖がりだったり、慎重すぎて一歩が踏み出せなかったり、他の子と違うことがあったりすると、とても不安になって、焦ります。そして、不安に思う自分をまた責めて、肝っ玉母ちゃんを見ては、自分の不甲斐なさに落ち込む日々。

どのお母さんにとっても育児は大変なものですが、親がHSPの場合、特にハードだと感じます。
 
では、本当にHSPは育児が苦手なのかというと、実際は、そんなことはないと思います。

HSPの親は、共感能力が高く、思いやりがあり、子どもの気持ちを理解できるがゆえに、大声で怒鳴りつけない、急かさないように配慮する、騒がしくしない、スケジュールを詰め込まない、無理強いしない、など、大抵子どもに必要なことをちゃんと理解して、子供の気持ちを尊重し、環境を整えています。
その結果、HSCに適した子育てを、自然としていることが多いです。

何よりも、誰にもわかってもらえないHSCの不安な気持ちを、親が受け入れてくれていたら、それは本当に嬉しいことです。

日々、HSPの育児は、そうでない方の育児に比べて大変だと感じることがたくさんあると思います。

でも、育児に向いている素晴らしい性質が、大きく活かされているのも事実です。

そういう面が自分にはあるのだと思って、HSPの親御さんが日々の育児を少しでも楽しめるようになるといいな、と思います。

◆太田知子(おおた・ともこ)◆

1975年、東京都生まれ。主に子どものイラストを中心に描くイラストレーター。小学生と高校生の2児の母。
著書『子育てハッピーたいむ ななとひよこの楽しい毎日』1~3。『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち』1~5。『HSC子育てあるある うちの子は ひといちばい敏感な子!』。