子供の頃、月曜に登校すると「あれ観た?」と、テレビで放送された映画の話題になることが多かった。中でも人気が高かったのは、香港映画だ。初めて触れたアクション映画は「金曜ロードショー」と「ゴールデン洋画劇場」で観たジャッキー・チェン出演作、という人は多いのではないだろうか(40代以上限定で)。
「トワイライト・ウォリアーズ」は、かつて香港に実在した巨大なスラム街「九龍城砦」を舞台に、そこで生きる人々の抗争と友情を描いたアクション作品。

1980年代、香港へ密入国した青年チャンは、身分証を手に入れるために接触したマフィアから、裏社会へと誘われる。拒否したために追い詰められた彼は、九龍城砦へと逃げ込む。
九龍城砦の平和と秩序を守るリーダーのロンギュンフォンをはじめ、3人の青年と出会い親交を深めることで、チャンは自分の居場所を見つけていく。しかし、九龍城砦取り壊しによる利権争いが激化し、チャンたちは共に暮らす皆を守るため、自由と絆をかけた決戦へと身を投じていく。
本作は、これまでの香港映画でもよく見られる、裏社会の抗争や、絶対に真似ができそうにないアクロバティックなアクションがふんだんに盛り込まれる。その上で、九龍城砦の住民たちの生活が細やかに描かれており、自分の出自や所属の異なるチャンたち新世代4人が友情を育むなど、現代にも通ずる感覚がある。いわゆる「ジャッキー・チェン映画」の焼き直しという作品ではない。
日本公開後、すぐに映画ファンの間では面白さが広まり、「トワウォ」ブームが起こった。SNSでは「(ロンギュンフォン役の)ルイクー渋い」や「(チャン役の)レイラム最高!」というやり取りが見られ、昔を思い出してしまった。今回の配信をきっかけに、「あれ観た?」と周囲で言い合えるようになるのが楽しみだ。
そして、11月に香港で発生した大規模火災を乗り越え、映画の関係者をはじめ、住民の皆さんに早く平穏が戻ることを心から祈っています。
