先日読んだ、中学生が主人公の小説に「先生に怒られたり、友達と秘密の話をしたり、パソコンの中にはない、あのどきどきとわくわくが欲しいのだ」という一文があった。仕事や生活で疲弊し時間がないと嘆きながらも、気づけばSNSを眺めてしまう自分にとってハッとさせられる言葉だった。
『ストレンジャー・シングス』は、1980年代のインディアナ州を舞台に、小さな町で起こった少年失踪事件をきっかけに、町中が不可解な事件に巻き込まれていくSFホラー作品。
83 年11月、仲良し小学生4人組の1人、ウィルが帰宅途中のホーキンス研究所付近で忽然(こつぜん)と姿を消す。 街中の大人が諦めムードの中、友人であるマイク、ダスティン、ルーカスの3人は、自分たちだけでウィルを見つけようと森へ出かける。その道中で髪を剃った風変わりな女の子イレブンと出会った3人は、 超能力を持つ彼女と協力し、ウィルを救い出すため"裏側の世界"に入っていく。

本作は、シリーズ作品全てにおいて、80年代の名作へのオマージュが散りばめられている。子供たちの冒険は「グーニーズ」、ホーキンス研究所の魔の手をかわそうとする姿は「E.T.」を彷彿(ほうふつ)とさせる。音楽はいわゆる「MTV全盛期」のヒットチャートが流れ、子供たちの移動は自転車だが、連絡手段にトランシーバーが使われるなど、当時では最先端なものも取り上げられている。
もう少し子供だった私の抱く当時のイメージ、「キラキラして、少しだけハイテクで、カラフル」な世界がそこにある。便利になりすぎた時代とスマートフォンのおかげで無駄な時間を過ごしてしまい、自己嫌悪になっている私は「少し不便なくらいが丁度(ちょうど)いいかも」と、子供の頃を思い出してしまった。
大人になり、唯一良い(?)ところといえば、子供よりも時間の体感が速いということ。シーズン4を鑑賞後、「3年も待つのは長いなあ」と思っていたが、最終シーズンの公開はすぐそこまで来ている。またあの子供たちに会えるのが楽しみだ。
