編集者や映画プロデューサー、俳人として幅広く活動し、「戦後最大の出版人」とも呼ばれる富山市生まれで角川春樹事務所社長の角川春樹さん(83)。角川書店時代にデザイナー、石岡瑛子さん(1938~2012年)とタッグを組んで手がけた広告は、県美術館で開催中の企画展「石岡瑛子I(アイ)デザイン」で紹介されている。石岡さんとの思い出や、書店振興への意欲、古里への思いを角川さんに聞いた。

「石岡瑛子I(アイ)デザイン」記事一覧

石岡瑛子さんとの思い出などについて語る角川春樹さん=東京の角川春樹事務所

資生堂ポスターがきっかけ

 -石岡さんとの仕事は、角川書店の編集者時代に、北山修によるエッセー「さすらいびとの子守唄」(1971年)の装丁を依頼したことから始まりました。

 「はい。一番最初に彼女の存在を知ったのは、前田美波里さんを使った資生堂のポスターでした。非常に大きくインパクトがあって、前田美波里の魅力があふれていた。石岡さんが装丁をやるかどうかも分からなかったが、それで話したのがきっかけでした。それから五木(寛之)さんの小説や石原慎太郎さんの文庫のカバーを石岡さん(の装丁)に変えるなどしました」

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