このシリーズの中世編「越中と刀」の回の冒頭で、赤丸公園(高岡市福岡地域)のヤマトタケル像を紹介した。実はこの像の案内板に、西南戦争の英霊もまつっていると書かれていたことが気になっていた。

 西南戦争というと、征韓論を巡る対立で明治新政府から下野した西郷隆盛が1877(明治10)年、士族の不平や不満を吸収し明治政府と戦った最後の内戦として知られる。舞台となったのは九州であり、富山の歴史とは無縁では?

 ところが調べていくと、意外な事実が浮かび上がる。

ヤマトタケル像と戦没者について説明する赤丸公園の案内板=高岡市

旧富山藩士が政府軍として薩摩軍と戦う

 富山市中心部に近い於保多(おおた)神社。学問の神様、菅原道真や初代富山藩主前田利次らをまつっていることで知られる。西側の正面近くには、西南戦争で戦没した旧富山藩士の碑がある。

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