富山から全国に広がった姓に「蜷川」がある。

 熊野川が流れる富山市南部の蜷川地区。鎌倉時代から続く武家、蜷川氏の菩提(ぼだい)寺、曹洞宗の「最勝寺」を訪ねた。和尚の谷内良徹さんが、蜷川の地名の由来となった「ニナガイ」を紹介してくれた。キセルガイの仲間だ。お供え物を置く「三方」に載せて大切に飾られていた。

蜷川氏の家系を紹介する谷内さん=最勝寺

 「今でも境内では石の下などに生息しています。ホタルの餌となるカワニナと間違われますが、川にいるわけではありません」

 蜷川氏の姓は、地名の蜷川が由来だ。新川郡や砺波郡などの荘園を支配した豪族の宮道(みやじ)氏を祖とする。

 蜷川氏の子孫の中では、室町時代の禅宗の高僧、一休宗純との名コンビで知られた蜷川新右衛門がよく知られている。

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