ヒスイは海からやってきた。

 縄文人は山や川から採取したのではない。宮崎(朝日町)や親不知(新潟県糸魚川市)などの海岸に打ち上げられた原石を拾った。それを竪穴式住居の中で長い時間をかけて磨き、宝石に加工した。

ヒスイが打ち上げられる宮崎海岸=朝日町

5億年前に地中で誕生

 ヒスイは5億年以上前に地球の奥深くで生成された。陸のプレートの下に海のプレートが沈み込む地下約30キロの場所だ。

 当時、日本列島はまだ形成されていない。後に米国やアフリカ、インド大陸などに分かれる前の超大陸「ゴンドワナ大陸」の一部だった。

朝日町の浜山玉つくり遺跡から出土した緑色に輝くヒスイ(まいぶんKAN提供)

 約2500万年前、大陸の端から日本列島が分離し始めた。地殻変動を経てヒスイが地表に出てくる場所は、西日本と東日本をつなぐフォッサマグナ(中央地溝帯)の西隣。北アルプスが隆起した一帯で、糸魚川市の姫川と支流の小滝川、そして青海川のそれぞれ上流部になる。

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