大の里の初優勝で幕を閉じた大相撲夏場所。新小結での制覇は史上2人目とあってファンを大いに沸かせた。1957年6月2日の夏場所千秋楽で、その快挙を初めて成し遂げたのは安念山(元関脇羽黒山、先代立浪親方)。「安念」の名にピンと来る県民は多いかもしれない。ルーツは砺波市にあり、当時は“越中力士”として熱狂的に応援されていた。富山での足跡をたどってみよう。

砺波市太田にルーツのある安念山。県西部の人にとって「安念」という名前は砺波市のイメージが強い

田んぼや畑から人影が消えた

 「でかしたぞ!安念関 喜びにわく出身地砺波市」

 1957年6月2日、大相撲夏場所千秋楽で安念山が13勝2敗で初優勝を決めると、翌日の北日本新聞には、こんな見出しが躍った。

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