同じ北陸でも、石川に比べて福井は知らないことばかり。北陸新幹線敦賀開業後、富山からも福井を訪れる機会は増えるはずだ。取材で出会った人たちに福井県民ならではのおすすめスポットやグルメを聞いた。ボードを手に「福井来るなら○○行ってきねの」

再開発が進む福井駅前。動く恐竜モニュメントが出迎える=福井市

 富山駅から北陸新幹線「つるぎ」に乗車。金沢駅で特急「しらさぎ」に乗り継ぎ、福井駅に着いた。所要1時間30分が来年3月16日の敦賀開業時は最短で44分となる。新幹線の時短効果は大きい。

 改札口を出ると、真っ赤な自動販売機が目に飛び込んできた。普段見慣れた某飲料メーカーのものに似ている。が、近づいて中をのぞき込むと「かにめし」が売られていた。ますずしの自販機もニーズがあるのかもしれない。

某飲料メーカーとそっくりな「かにめし」の自販機

 越前ガニやおろしそば、ソースカツ丼は食べたことがある。恐竜博物館や東尋坊、永平寺も有名だ。これら以外で地元の人しか知らない「福井の自慢」を教えてもらった。

 地元をよく知るといえば、地元紙の記者。同じ時期に東京で勤務し、今でもかわいがってくれる福井新聞報道部部長の新屋安弘さん(54)に突撃取材した。「福井のソウルフードは、水ようかんかなあ」。地元の老舗「えがわ」(福井市)がよく知られているらしい。

 

 「水ようかんですか。今年は猛暑でお土産にもいいですよね」と言うと、いやいやと手を振る。「福井では冬にこたつに入って、冷やした水ようかんを食べるんよ」と驚きの返答だった。

福井県民のソウルフード「えがわのようかん」の箱

 由来は諸説あるらしい。新屋部長の話では、昔、京都に丁稚奉公に出ていた福井県出身者が、年末に帰省する際に土産で持ち帰ったのが始まりということだった。早速、福井駅に隣接する商業施設「ハピリン」で「えがわの水ようかん」を探したが、見つからなかった。土産物店「かゞみや」の店員に確認すると、毎年11月から3月末までの期間限定で販売されるらしい。

福井のおすすめを教えてくれる竹原さん(右)と水田さん

 次に聞いたのは、福井市新幹線整備課の竹原純子さん(55)と水田幹男さん(42)。開業準備で忙しい中、取材に応じてくれた。

 水田さんが挙げたのは「油揚げ」。福井市は1世帯当たりの年間消費額が日本一だそうだ。浄土真宗の信仰が厚い土地柄で報恩講の食事で出され、家庭にも広まったという。

食品売り場に並ぶ油揚げ。厚揚げ、中揚げ、薄揚げと種類豊富

 福井では富山でもよく見る厚揚げ、薄揚げに加え、中(ちゅう)揚げもあり、スーパーにはいろんな種類の油揚げが並ぶ。水田さんは「薄揚げはカレーに入れてもおいしいですよ」と教えてくれた。

 

 竹原さんはお薦めスポットに敦賀湾に浮かぶ水島を挙げ「福井のハワイです」とにっこり。全長約400メートルの無人島で、透明度の高い海と細長い白砂が魅力とのこと。船で島に行けるのは毎年7~8月の海水浴シーズンに限られ、海好きなら一度は行ってみたい場所だ。

「福井のハワイ」と呼ぶ人もいる水島(福井県観光連盟提供)

 北陸新幹線関連でもう1カ所、福井市と鯖江市の市境にある文殊山(365メートル)もすすめられた。新幹線のトンネルが山中を貫通しており、山頂に行けば、W7系が走行する様子を真上から眺めることができるという。

笑顔で福井の魅力を語る杉本達治福井県知事

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