米有力紙ニューヨーク・タイムズの「2025年に行くべき52カ所」に選ばれ、富山市は沸いた。推薦したのは、米国出身の作家クレイグ・モドさん。モドさんは再び富山を訪れ、酒場を巡り、若い世代が生み出す意外な一皿と出合った。新たな感動に「ここには新しい文化が生まれる土壌がある」と魅力を語る。日本各地を旅してきたモドさんはさまざまな地方の窮状を目にしてきた。そのモドさんが富山に見いだした希望とは-。

感動、偶然じゃない

藤井市長と対談するモドさん(右)=富山市ガラス美術館

 モドさんは9月、富山市ガラス美術館で、藤井裕久市長との対談に臨んだ。チノパンにデニムのジャケット姿で、愛用のライカを首から下げるというラフなスタイルで登場。リラックスした表情で、記事執筆の裏側を語った。

 1月に発表した記事の中で、ワインバー「アルプ」(総曲輪)やおでん居酒屋「飛弾」(上本町)など、市内の飲食店を数多く紹介し「人混みを避けながら文化的な感動と美食を存分に楽しめる」と評価した。その多くは40代以下の経営者が営む店で、温かな歓迎を印象深く感じたという。

 「初めて富山を訪れた時は、たまたま運よく、若い経営者の店やすてきな人にばかり出会えたのかと思った。でも何度も来るうちに、どんな店に入っても人々が優しいことに気づき、これは市民の気質なのだと感じました。とても感動しました」

迷惑かけていないか

 モドさんは、紹介した店を記事が公開された後にも何度か再訪したと明かした。

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